第2書庫

□2.鋼VS焔・・・?
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エドワードは物影に隠れ乱れる息を整えた。

 「っは・・・一体、どうなってんだよ!?」

ロイから逃げ出し暫くして突如、軍人達がエドワードの目の前に現れた。
その軍人達は『すまん』、『ごめん』、『許してくれ』と口々に言いながらエドワードを捕まえようとしてきたのだ。
軍人達の様子からしてロイの命令なのだろう。
憐れ、縦社会の掟である以上、下っ端は上には逆らえない。
しかし、エドワードもロイのあの笑顔を見て本能的に逃げた以上後には引けない。
そんなエドワードが一人、悩んでいると微かに自分を呼ぶ声が聞こえ、そちらに視線を向けるとハボックが一人、こっちだと手招きをしている姿が見えた。
エドワードは一瞬、近付くのに迷ったが諦めるように溜め息を一つ零しハボックのいる場所へと足を向けた。

 「悪いな、大将。こんな事になっちまって」

 「いや、いいよ」

ハボックの謝罪の言葉にエドワードは首を振った。
別にハボックのせいではない。
自分があの場を逃げてしまったからこうなってしまったのだ。

 「それより、これ大佐の仕業か?」

『これ』とは軍人達がエドワードを捕まえようとしている事だ。
そのエドワードの言葉にハボックは呆れた表情で説明を始めた。

 「正解。演習がいきなり逃走犯想定での捕捉訓練になっちまったんだよ」

 「逃走犯って・・・もしかしてオレの事だよな・・・?」

ハボックの説明に今現在、逃げている自分の事を言っているのかとエドワードは問うた。

 「そう、犯人役は大将。で、制限時間内に捕まえた隊は三日の有休、捕まえられない場合は全部隊減給て言われて皆必死なんだよ」

困った表情をするエドワードにハボックは苦笑にも似た笑みでエドワードを見た。

 「でも、俺はお前の意志を尊重したい」

 「でッ・・・でも、それじゃあ少尉達がッ!」

そんな自分を優先してしまえばハボック達は立場が悪くなってしまうではないかとエドワードが抗議するとハボックはそんな心配をするエドワードの頭をポンポンと叩いた。

 「こんなのいつもの事だから気にすんなって、お前は自分の事を考えろよ。それとも俺達に捕まったって事にして大佐に会いに行くか?逃げた手前、行きづらいんだろ?」

 「・・・うん」

 「この際、気持ちとか考えずに報告の事だけ考えれば少しは紛れるんじゃないか?意識し過ぎるから顔が合わせづらいんだよ」

ハボックは感情に振り回されているであろうエドワードへ助言するように言葉を発し、その言葉にエドワードは驚いた表情を見せた。
確かにハボックの言う通り、少し意識し過ぎたのかもしれない。
それがわかったエドワードは少し気持ちが楽になった気がした。

 「わかった。オレ、大佐に会うよ」

何時も通りの元気な表情を見せたエドワードにハボックも自然と釣られるように笑みを浮かべた。

 「よし!そうと決まればそれと怪しまれないようにちょっと細工しなきゃな」
そうハボックは言うとエドワードをロープで縛り肩に担いだ。
そんなハボックの行動に内心、ありがたいと思った。
これなら嫌々、連れて来られたようで天邪気なエドワードにでも対応が出来る。


■□■□■



そんなハボック達の行動を知らないロイは一人、練兵所に居た。
すると遠くから喚き声が近付いて来るのに気付きロイは内心、やっと来たかと微かに笑みが零れた。

 「少尉!離せよ!!」

 「ちょっ!大将あんまり暴れんなって!!落ちたらどうすんだ!」

喚きながら近付く二人にロイは視線を向けるとハボックは肩に担いでいたエドワードを下ろしロイへと敬礼をした。





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