Present of star

□笑いあおうよ
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もし、アメリカのあなたが


今ここにいたら?


そんなことを考えるだけで


胸が苦しくなるの。




笑いあおうよ



「ただいま」


・・・え?


今、目の前に梓くんがいるよ・・・?


「僕の奥さんは『おかえり』と言ってくれないんですか?」


『え?お、おかえりなさい!でも、なんで?梓くんは今、アメリカに出張中でしょ?』


出張と言ってもたったの一週間。


それだけで、もうこんな幻覚を見るほどだめになっているのか・・・


「僕は幻覚じゃないですよ?」


『なんで考えてる事がわかったの!?』


「先輩のことです。予想がつきますよ・・・あ、今はもう先輩じゃないですね
僕の奥さん・・・やっぱり沙耶って呼びます」


『なんか、改めて言われると照れるなぁ・・・』


「だろうね、顔が真っ赤だよ、沙耶」


『敬語もなくなってる!』


ていうか、絶対からかわれてるよね・・・?


「顔が真っ赤の沙耶も、可愛いから好きだよ」


『うあぁ・・・ってそういえば!なんで日本に居るの?アメリカじゃなかったの!?』
 

「そんなの・・・早く僕の可愛い奥さんに会いたかったからに決まってるよ。
どうせ宇宙飛行士についての書類とか書いてくるだけだったんだから」


・・・嬉しい。


そう思えば思うほど、わたしの胸は熱くなって


気づいたら行動にでていた。


ちゅっ・・・


「・・・っ今日の沙耶はずいぶん積極的だね?」


『あ、えと、そのっ・・・違うの、今のは、』


「何が違うの?僕は嬉しいよ。だって沙耶が自分からこんなことしてくれるなんて・・・」


『それはっ・・・あの、なんか、少しの間、梓くんに会えなかっただけなのに・・・
とても苦しい気持ちになって、だから・・・こうやって会えたことが、すごい嬉しいの』


しどろもどろになって話す。


顔はさらに赤くなっているだろう。だから下を向いたら・・・


はぁ。


ため息をつかれた。


『えっと・・・梓くん?』


「あなたは僕を殺す気ですか」


『えぇ!?』


「冗談。・・・本音を言うと僕も、沙耶に会えなくて苦しかった。
でも、宇宙に行ったら一週間じゃすまされなくなる。だから、」


頑張ろうって決めたけど、やっぱりすぐに会いたくなった。


そう言った梓くんの顔は赤みがさしていて、


なんだかこっちも照れてしまった。


『ねぇ、梓くん。わたしは梓くんが好きだから、宇宙に行っても、どこに行っても何カ月も何年も待てる気がするよ』


「沙耶・・・。奇遇だね?今僕も沙耶ならいつまでも待ってくれるんじゃないかと思ったよ」


『待ってくれるんじゃない、待つの。わたしが待ちたいから・・・ずっとあなたを信じてるから』


そうして、梓くんの背に手を回す。


『だから、今触れあえるだけ触れあって、愛を溜めればいいの。そうすればお互いのぬくもりを忘れることがないから』


寂しくないよ?・・・そう呟き、梓くんの顔色をうかがう。


梓くんは優しい顔でわたしを見ていた。


「じゃあ、今から愛し合いましょうか!」


『え!?・・・てか、敬語に戻ってるね、梓くん?』


「話を逸らさないでくださいよ。やっぱり沙耶と話すときは、敬語がはいっちゃうんです」


ちゅっ


リップ音が響く。


『やっぱり、わたしの旦那様はかっこいいね』


「やっぱり、僕の奥さんは可愛いです」


2人の声が重なる。


『ふふっ』「あははっ」


顔を見合わせ笑いあう。


この瞬間が愛おしいから、また一緒に笑いあいたいから


いつまでもあなたを、待ってる。





(ところで、僕のご飯はありますか?)
(・・・ごめん、今すぐ用意するから!)
(なんか、夫婦って感じですね)(夫婦でしょ!)
(・・・そうですね!)
 
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