リク消化・過去拍手(古)

□シリウス君とホラー
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相手:シリウス(現パロ)
※微グロ注意
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「ここの先、知ってるか?」


目の前を歩くシリウスは、唐突にそう言った。

ちょうど、線路を越えた先。
近道のため、ビルに挟まれた裏路地を通る。


誰もいない。
寂寞とした通り。
午前0時を超えてしまっていて
辺りは闇に静まり返っている。



「何、を?」


シリウスの声の低さに少し怖くなったのか、声が震えた。
バチバチと街灯が鳴る。それだけで、不穏に感じてしまう。


「あそこのビル、見えるか?」


ス、とシリウスが指さした。
長い指を追って、顔を上げる。
4メートルほど離れた所。

今度は一部の街灯が、消えてしまった。おかげでさらに暗くなってしまう。
静けさを強調するような頼りない月明かりと、弱々しい街灯だけを頼りにすることは、心底心細く感じる。


「うん、それが・・・どうs―――」
「飛び降り自殺があったんだ。」


理由もなく、背筋がゾクリとした。
誰かが指を這わせたように。
思わず、痙攣したような笑いが漏れた。


「な、何?急に」
「地面に叩きつけられたそいつってさ―――」


シリウスは、不自然なほど淡々とした口調で続けた。


「辺りには血が飛び散り臓器はぐちゃぐちゃ。」

「手足は不自然な方向に所々曲がっていて、背には真っ赤な骨が飛び出している。」

「髪は血で束になっていたそうだ。」

「ただ、不思議と顔は形が残っていたらしい。」

「でも―――」















「両目が飛び出して、転がっていたんだって。」












4メートル先の地面に、
血溜まりが見えた気がした。

転がった目玉。
目が合ったような錯覚が―――











「や―――やめてよ!!」








思わずシリウスに強く叫んだ。
シリウスは、ピタリと言葉を止めた。
そして―――







「っはは、悪ィ」






いつもみたいな悪戯っぽい声で笑った。安心する、私の好きな、聞きなれた笑い声。


……でも、前を向いたまま振り返らない。


「さっきから、どうしたの?」
「それで、その話には続きがあるんだ。」


全く無視して、言葉を続ける。
見上げれば、今度はシリウスも地面を見ている用だった。


「ね、ねぇってば、」
「普通即死の筈なのに、地面に叩きつけられた後少し息があったそうだ。」
「シ、シリウス……?」
「しかも不可解なことに、自分から飛び降りたくせして叫び声を上げながら落ちていったらしい」


私の声が聞こえていないのだろうか?


「―――が起こる。」


ノイズが入ったように、不思議と聞き取れなかった。
不可解な感覚に、思わず頭を押さえながら、地面に目を落とした。


「その日以来、午前1時6分ここを通ると―――」


語尾がまた、ノイズに混ざっていなかったか。
顔を上げると








そこに、シリウスは居なかった。








だけど、見渡せばすぐに見つけることが出来た。
前方5メートル先あたりで、こちらに大きく手を振っている。


「おーい、早くこっちに来いよ。」


いつのまに、そんなところまで移動したのだろう。
良く表情は見えない。でも、


―――笑っていた。


明るい笑顔だ。
早くそっちに行って、早く帰ろう。
そしてさっさと寝てしまおう。
明日になればどうせ―――













そのとき、シン、と空気が張りつめた。

何だろう、何か聞こえたような……
















「ぁぁぁぁぁ……」










声だ。











「ぁぁぁぁああ……」













だんだん大きくなっていく















「ぁぁぁああああああ」

















どこから―――























見上げた瞬間、

大きな顔。






目鼻口すべてから
血が、








黒い空洞の目が
見開かれている










目が合った。

















          




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