ヘタリア短編

□*舞い降りた君は
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「ぷりーずキャッち!」




ずたぼろの発音と共に、女の子の声が上から聞こえたので、
何を?と思いながら見上げてみると



「Me!!!!」




という声と同時に女の子がいきなりこちらをめがけて飛び降りてきた。
(え、えぇぇぇぇぇ!!?)
(パ、パンツみえてんぞ!!)




何もかもが突発的過ぎてうまく頭が回らなかったが、取りあえず一人の命が俺に掛かっているということだけは把握したため、あわててその子をキャッチする。
すっぽりと俺の腕に収まった体は、何とも華奢で驚くほどに軽かった。

「あっぶねぇだろ!何考えてんだこの馬――…」

そこまで言って、言葉が詰まった。
さっきまでは逆光でよく見えなかったけど……
こいつは…


「お、おまっ…なまえ!!?」
「やほー、かいちょ!」


呑気に敬礼のポーズを真似ながら、にかっ!という擬音が聞こえてきそうな
なんとも眩しい笑顔でなまえが挨拶してきた。
抱きついている、というかお姫様抱っこをしてしまっているこの状況はすごく幸せ且つ美味しいことには変わりないのだけれど、
全くもって、何から何まで、意味不明である。
頭を整理するために、なまえから情報を得ようと口を開いた瞬間、
さっきなまえが飛び降りたベランダから、イヴァンが顔を出した。


「なまえ?どうして逃げるのかなぁ?」

「ゲ、さあ会長!逃げるべし!」

「は、はぁぁ!?」

イヴァンは不気味な笑い声を残した後、ベランダから姿を消した。きっと、なまえを追いに階段を下りているんだろう。何が何だかわからないが、なまえがさあ!さあ!と急かすので、俺はなまえを抱えたまま走り出した。


 
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