short
□snow's memory
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北海道は今、雪が降ってるよ。雪を見ると思い出す。幼い頃の自分。あの頃の君。
君は言った。雪は吹雪みたいだなって。僕が、どういうこと?と聞いたら君は降っている雪を手に乗せて淡々と答える。
白いところ、冷たいところ、儚いところ。
その時よくわからなくて首を傾けた。すると君は少し悲しい顔をして微笑んだね。
今なら分かる。僕には君を守るだけの強さも何もなかった。そして、君を不安にさせていたんだ、ってね。
その雪を見ながら雪が止むまで外で話したね。僕が中に入ろう?と何度も提案したが君の首は縦に振ってくれなくて。君にはこの気温は寒いんじゃない?そう聞くと、もう少しだけ、と耐えた。止んだ後、これを待っていたかのように言われた言葉に僕は心が壊れた。
別れよう。
君はさっきと同じような顔をしていた。少し違う。決意をしたような、けど目からは今にも涙が溢れそうな、複雑な表情。
そして僕は考える。君はそれを言うためにあの雪が止むまで寒い中待ってたの?何で?そこまでして...。別れ話ならどこでも言えるのに。
君はついに涙を流し、僕にこう言う。
あの雪を最後の思い出にしたかったんだ。今まで楽しい時間をありがとう。
嫌だよ、これからも一緒にいたいよ。
僕の気持ちは届かない。僕には君を手放すことしか選択肢がなかった。
結局、あのあと僕は君を慰め、渋々に了解し、君を見送った。
あれから、10年の時が流れた。
今、君は幸せですか?僕は雪が降る度に君のことを思い出してしまい、未練がましく君に想いを抱いてるよ。
不安にさせてごめんね、
うまく伝えられなくてごめんね、
守れなくてごめんね、
まだ愛していてごめんね、風丸くん。