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□"愛"探しに行こうか!
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今、俺たちイナズマジャパンは久遠監督の許可を得て動物園に来ている。
「豪炎寺さーんッ!!!あっちの虎を見に行きましょー!!!」
「な、と、虎丸!?!?うわッ」
虎丸に強引に連れ去られる豪炎寺。
「ハハッ 仲いーなー!!」
「円堂...良ければ一緒にペンギンでm」
「鬼道ッ一緒にペンギンさんを見に行かないか!!!」
「...。」
我らがキャプテンの円堂を誘おうとするも佐久間に邪魔をされる鬼道。
「次郎ちゃん。邪魔しちゃダメでしょ?鬼道ちゃんが勇気を振り絞ってキャプテンを誘ってんだから。」
とニヤニヤしながら佐久間を引っ張っていく不動。
「ん?なんだ?鬼道はペンギンが好きなのか?」
「あ、ああ...」
「よしっ 行こうぜ!!!」
天才ゲームメーカーの鬼道の顔をこんなにも赤らめさせることが出来るのはやはり円堂だけだろう。彼は鬼道の手をとり仲良くペンギンの元へと向かった。
みんなそれぞれの行きたいところへ言ったが、俺は特に行くところもなく近くにあったベンチに腰を落とす。
「ねぇ、風丸くんはどこにも行かないの?」
ベンチの後ろから耳元で不意に話しかけられ、俺はビクッと肩を震わす。
「なんだ、吹雪か。ビックリさせるなよー。」
そう。声の主は吹雪だった。他にも誰かいるのかと見渡したが誰もいなかった。
「僕じゃ駄目?」
なんて潤んだ目をして聞いてきたから、俺はあわてて訂正を加える。
「いや、他にも誰かいるのかなって思っただけで、吹雪と一緒に居られるなんて嬉しいよ。」
うん、本当に嬉しいんだ。吹雪のこと好きだから。
他のメンバー...というより、染岡と一緒に回らなくてよかった。いつも染岡は吹雪と一緒にいるから...見ていて辛い。
「...風丸くん?」
「ん?あー、何?」
「どこか一緒に回らない?」
俺はもちろん
「ああ、ドコか行きたいところはあるか?」
一緒に行くことに。
「んー、狼っているかなぁ?」
「狼かぁ、探してみるか!!」
とりあえず辺りを彷徨く。象、キリン、猿...とポピュラーな動物が並ぶ中狼はなかなか見つからない。
でも吹雪は、象だぁ!!!大きいなぁ、キリンってスッとしててカッコいいよね!!!と、思っていたより大喜び。俺もそんな吹雪を見て無意識に口元が緩む。
何で、俺なんだろ?ずっと引っ掛かってる。いつも染岡とか豪炎寺と一緒にいるのに...何で俺を誘ってくれたんだろ?
「風丸くん。何か考え事?」
「いやぁ、狼はどこいるかなって。」
「嘘。」
「う、ごめん。」
吹雪は見透かしたように即答したので俺は正直に言う。
「えーと、何で俺と一緒にいてくれるのかなって。いつもさ、染岡とか豪炎寺と一緒じゃないか。ど、どうして?」
「そんなの、好きだからに決まってる♪」
...え?それはどうとっていいの?俺の好きなように解釈しちゃっていいのかな...気づかぬうちに顔が火照っていた。
「風丸くんは僕のこと愛してる?」
「え、あい、してって...!?!?」
「僕は風丸くんのこと愛してるよ?ギュッと抱き締めたいし、キスもしたい。これは好きってことだよね?」
「あ...う?」
俺は言葉にならなかった。
「あれ?伝わんない?えーとね、僕は風丸くんのこと仲間以上に好きなんだよってことなんだけど...」
「あ、ありがと///」
「付き合ってくれますか?」
「俺でよければ、是非。」
素直でよろしい!!!と何だか楽しげな吹雪。なんて客観的に見ている俺だが内心色々な考えが混ざりあってドロドロで整理できていない。ただ、吹雪は染岡でなく、豪炎寺でもなく俺を選んでくれたことは分かる。嬉しくて頭の中で反響する吹雪の声。
そっと吹雪の手を掴み引いてみる。思っていた通り身体は軽く、俺の胸にポスッと入り込む。
先ほど吹雪に話しかけられたように俺も耳元で小さく彼にだけ伝わるように言ってみた。
─好き─と言う主語もない短いたった二文字の言葉。
それだけでも彼は嬉しかったらしく、満面の笑みで、口調は楽しげにこう言った。
「狼、探そ?一朗太!!!」