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□揺れる心は、僕の心?
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"これでお前と、サヨナラだ"の吹雪視点です。


「あ、あぁ。俺は応援するよ。」

風丸くん...?僕を応援してくれるの?僕が染岡くんを好きって言っても、男の人を好きだって言っても驚かなかった。でも、少し悲しい顔をしていた気がする。どうしてそんな顔をしているの?なんて聞けなかった。だから僕は、ありがとう、としか言えなかった。
教室に戻るまで無言だった。風丸くんもずっとボーッとしていた。それは教室についても変わらず、仕舞いにはお弁当の時間なのに授業の準備をしている辺りが全てを醸し出している。

「風丸くん、お弁当だよ!!!」

そういうと少し肩をビクっとさせて、僕の方を向き、すっかり忘れてたよ、と。何だろう?さっきから風丸くんが無理に笑っている気がする。風丸くん大丈夫?そう問うと明らかに動揺していた。僕はそれを見ないフリした。風丸くんがそうして欲しいみたいだから。
いつも僕達は屋上でお昼を過ごす。でも今日は屋上に着くと珍しくキャプテンたちがいた。
そこで風丸くんの顔を見る、すると、目が合い

「吹雪、円堂たちと食べないか?」

と意外なことを言われた。いつも2人だったからこんなこと考えたことなかったんだと思う...2人の方がいい、だなんて。
え?良いのかな?と戸惑う素振りを見せると風丸くんは僕の手を取りキャプテンの方へと引っ張っていく。
一緒していいか?と風丸くんはキャプテンに問いかける。キャプテンは爽やかに笑い、僕らを迎え入れた。

「にしても、2人は仲いいな」

と、キャプテンは僕らに向けて言う。ああ、この手が原因かな?風丸くんは気付いていないみたい、僕は隠れて笑う。

「だって、手ぇ繋いでんじゃん。」
慌てて手を離そうとする。だから僕は逆に強く握った。すると風丸くんは顔を紅く染め、何か弁解をしようとしている。

「いや、これはさっき、引っ張ったときに...」

「だって僕達、仲良しだもん。」

そう言い、違う?と問うと顔をますます紅くし、違わない...と小さく言った。女の子みたいだな、とか僕が言えることではないけど紅く染まった頬を隠すように下を向いた彼を可愛いという単一表現でしか表すことができなかった。そんな彼が少し困ったような顔をして染岡くんの方を見た。ああ、なるほど。僕のためか。やっとここで気付く。そんな風丸くんのちょっとした気遣いに嬉しさを隠すことはできなかった。
意外と風丸くんて可愛いんだな、なんて。しかも、僕にこんなに協力してくれて...。
風丸くんの教室での表情が頭を過る。
あれ?僕は染岡くんのことが好きなはずなのに...さっきから風丸くんばかりだよ?何で...かな?
風丸くんは僕をチラチラ見る。あー、染岡くんと話せってことかな?僕はそっと染岡くんの方を見る。そして、風丸くんの方へ向き直す。何だか今は風丸くんと話していたいな、なんて変かな?いつも話しているのに、染岡くんより風丸くん優先な自分。矛盾していてまとまらない考え。

僕が話さないからなのか風丸くんは染岡くんの方へ視線を送る。すると、彼も気づいたみたい。そして、こう言った。

「吹雪のこと支えてやれよ」

風丸くんはこの言葉を聞いてすぐ僕の方へ向き直す。けど、僕は気づけば言葉が出ていた。

「フフ、風丸くん支えてね。」

あれ?思っていたよりダメージが軽い。というか、何も感じない。どういうことだろ?
風丸くんは不審そうな顔で僕を見ていたが自分でもまだ分かっていないのでその眼差しに何も答えることはできない。

そこからは他愛ない会話が続き、キャプテンたちは次の授業が体育だとかで先に出ていった。やっぱり、2人でお弁当食べたいな、呑気にそんなことを考えていたら

「なんで染岡と話さなかったんだ?」

と声が上がる。分かってる、自分でも不思議だった。でもね、こう考えると合点がいくんだ。
僕の本当に好きな人が君だと仮定すれば全てが一線に繋がるんだ。でも、こんな我が儘で軽い僕のこと好きになってくれるはずないよね?僕ははぐらかすことにした。

「フフ、なんでだろぉ...ね?」
「あのなぁ、──え?」

説教モードに入るかな?と彼の顔を見上げると彼は口を閉ざした。僕の顔、今だけ素直なんだよね。感情が入り交じって気持ち悪いことになっているであろう。

「ふ、ぶき?」
「エヘ、ごめんね。僕、何だか今頭の中混乱してて。染岡くんよりも...いや、なんでもない。」

あ、あぶな。うっかり口を滑らせるところだったよ。

「俺、そんなに吹雪が悩んでいたって知らなくて、ただ俺は吹雪と話せて嬉しいって...応援するとか言っておいて、結局、自分を優先にしてごめんな。」
「か、ぜまるくん?//」

僕は風丸くんに謝られ、彼に包まれる。こんなに僕より大きいのに心は実は脆いんだよね。知ってるよ。だって、気が付いたら君ばかり見てるんだもの。

「吹雪、俺に出来ることがあれば何でも言っていいからなっ」
「え?でもッ」
「お前は気づいてないかもしれない、けど俺はお前に以前、助けられた。俺もお前が悩んでいたら助けたい、泣いていたらその涙を俺が止めてあげたいんだ。」

僕は揺らがない。大切な人が出来たから。
僕の気持ちは整った。

お友達ごっこはやめにしよう?。

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