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□Summer's Lesson
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「暑いねー。」
「なー。」

夏休み初日。ジリジリと太陽が僕たちを焼き殺すような勢いで紫外線を浴びせてくる...。しかもそんな中、学校に来いだなんて、最悪だ。まぁ、自業自得なんだけどね。赤点補習だから。窓のカーテンを閉め、光を遮る。手元にはやっておけと言われた補習課題。僕と半田以外誰もいない。このクラスの赤点は僕たちだけみたいだ。きっと隣のクラスでは円堂が必死こいてやってるんだろうな。課題から逃避していると隣に座っている半田も課題を進める手を止めた。

「なぁ、何でマックスは赤点とったんだ?」
「さあ?なんでだろう。」
「器用なんだろ?つか、今まで赤点とってなかったし。」
「ホントね。」

僕は今まで赤点なんて取ったことなかった。というより、普通に授業を受けていれば赤点はとらないんじゃないかな?他人事のような言い方?当たり前。だって僕はわざと取ったんだから。そうでしょ?

「半端と一緒かぁ...」
「まだ言う!?いつもいつも半端、半端って、泣くよ?」
「はいはい。半田くんは常連サンなの?」

下敷きでパタパタと仰ぎながら聞いてみる。僕が赤点取ったことないの知ってるみたいだし。きっとそうなんだろうなぁ、と何気なく聞いたこと。

「いつもじゃない!!!今回は頭に入んなかっただけ!!!」
「ふーん。」

聞いておいて何だけど適当な相づち。でも彼は続ける。

「なんかさ、よくわかんないんだけどテスト期間中部活なくなってしたらお前のことばかり考えちゃって。とにかく、マックスのせいだ!!!」

何これ?告白ですか?それって僕のこと好きってことでしょ?

「半田、」
「ん?」
「ありがと。」
「...あ、ああ。」

彼はシャーペンを持ち直してまた課題に取り組む。その姿が面白くて笑ってしまう、彼はなんだよ、と小さく怒る。
だって、

「半田の顔、真っ赤。」

気づいたかな?いや、半田のことだからまだ自覚はしてないんだろう。彼が自分の気持ちに気づいたとき、僕は伝えるよ...。

目を見て、そっと手なんか握っちゃって、そしたら半田は赤面するんだ。僕が好き、と言ったら君もおうむ返しのように好きと返してくる。軽く抱き寄せて、君の温もりを感じながらもう一度好きと言ってみる。半田は赤い顔で、しつこい、とか言うんだろうなぁ。

「マックス?」
「あ、何?僕の半田?」
「...いつマックスのものになったんだよ、俺。暑さにやられた?」
「うん。そうかもしれない。」

それはきっと遠くない未来。
きっと、それまで僕は補習を受けるのだろう。もちろん半田と一緒に。

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