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□なんだ、単なる嫉妬か。
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──ねぇ、どうして他の人と一緒にいるの?

部活が終わって木陰で休んでいたところ、チームメイトの吹雪士郎が来て、放った、最初の台詞。

俺は、何が言いたいんだ、と少し低い声で聞いた。怒ったわけではなく、疲れていてたまたま出た声で。それに彼は大して気にする素振りを見せず、ただ、質問の答えを待っているようだった。

俺が誰と居ようと俺の勝手。俺の自由だ、と考える。第一、人間、一人じゃ生きていけないだろう?他の誰かの支えがあって初めて成立する自分。それを何故と聞かれてもそれが普通だ、としか言えない。

「普通...?じゃあ、僕の気持ちは?僕は風丸くんが他の人と話していたら嫌な気持ちになって、苦しくなって...」
「吹雪?」
「僕が苦しむのは普通なの?当たり前なの?風丸くんは嬉しい?」

初めて彼の気持ちに気付いた。吹雪のその感情は紛れもない、嫉妬。彼はボロボロに泣いていたけど、俺は逆に笑ってしまう。彼はそんな俺を見て不審げに名前を呼ぶ。

「風丸くん...?」
「ゴメン、嬉しくて、さ。ずっと嫌われてると思ってたから。」
「え?」
「いつも見てたよ。吹雪のこと。豪炎寺や染岡に吹雪を取られちゃうんじゃないかってさ。怖かった。」

話したこともそんなになかったし何もできなくて。
初めて本音を話した気がした。自分のことを話したことがなかった俺から少し新鮮な感じ。彼の方を見ると先程より涙が増えていることに気付いた。俺は慌ててダルい身体を起こし彼に近づく。

「ちょ、吹雪?何か、俺」
「いや、僕も嬉しいかったの」
「え///そうなのか...?」
「僕だって、怖かったよ!!!」

彼はジャージの袖で涙を拭い、俺に寄りかかった。

「僕もね、いつキャプテンに取られるか...。でも、あまり話したことなくて、どういう風にコミュニケーションとればいいのかわかんなくて。」
「俺たち、ずっと一緒にサッカーやってきたのにな?」
「ずっと同じ気持ちだったのにね?」

二人顔を見合わせ笑った。俺は首元で笑うそんな彼の頭を撫でてあげた。彼は少し笑って、僕がそれやりたかったな、と悔しそうに言った。早く大きくなれよ、と言おうとしたら、風丸くんを支えられるくらい大きくなる予定だから、と背伸びをして耳元まで顔を持っていき囁く。そんな彼の少し低いテノールボイスで顔も耳も赤く染められていく。俺の様子を見て楽しそうに聞く。

「風丸くん、僕のこと好き?」

もう気付いているくせにそんなことを今更尋ねる。彼の身体に手を回す。

「ああ、好きだよ。」

彼も涙で濡れた袖を俺の背に回し返す。

「キャプテンよりも?」
「もちろん。吹雪こそ、染岡より?」
「当たり前。」
「豪炎寺より?」
「決まってるよ。」

今までの不安を二人で確かめ合い、解消していく。そして、最後に口付けをした。それは婚礼で行う誓いのキスのようにもとれた。


円(アイツら練習サボって何やってんだ?)
虎(うわぁ、ちゅー、ですよ!!// 豪炎寺さん!!!)
豪(な、何故俺に振った?!)
染(お前らもやれよ。)

豪(...)

円虎((キスを?))
染(違ぇだろ!!!練習だよ!!!)

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