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□で 出会いは必然に*
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(蘭マサ 出会い 狩屋視点)
雷門中に転校してきてからというもの大して面白い事も無いので机に頬杖ついてはおひさま園やサッカーのことを考えていた。
帰ったら晴矢と風介さんにサッカー付き合ってもらおうかな…。今日こそあの大人げない晴矢を止めてやる。
そんなサッカーのことばかり考えていたからだろうか。クラス1のサッカー馬鹿と有名な松風天馬くんが俺の座席までやって来て声をかけてくるではないか。
〜〜〜〜
実はこの学校のサッカー部のことは少し聞いている。ヒロトさんや緑川さん、晴矢、そして風介さんから雷門中は面白い所だよ、とか、そのから始まっただとかよくわからない込み入った話を聞かされた。
実質、俺にとっては昔の話より別なことに興味があった。同じポジションの奴だ。ソイツが俺より強いかどうかそれだけ。弱かったら雷門のサッカー部に興味はない。おひさま園に帰って目一杯大人達に鍛えてもらうつもりだ。
だから、今の雷門のレベルには、まぁ、あまり期待してないけどね。
天馬くん達の話によると、俺と同じポジション…つまりDFは信助くん以外は先輩らしい。信助くんはやっと必殺技が完成した、とかだからまだまだ俺よりは下かなぁ〜?となると、その先輩達だな。
ということで。
取り敢えず天馬くんに腕を引かれるままサッカー棟まで来てしまった。
「見学か?」
「え、ええ、まあ。」
「そうか、ヨロシクな。俺は霧野。霧野蘭丸だ。」
ピンクの鮮やかな髪が俺に近づき、自己紹介と笑顔を浴びせた。2年だ、と付け加えられ驚く。同い年だと思う程身長も変わらず…というより性別すら疑ってしまうその容姿が俺の視界から外れない。しっかり、目を見てくるもんだから逸らすに逸らせない。
俺も渋々、自己紹介をしペコリと会釈する。
「硬いな。そんなにしっかりしなくても、軽く、でいいぞ?」
ぞ?ってナニ?口調まで女クセぇ。正直苦手かも。上辺の笑顔を貼付け、先輩に問う。練習しないんですか?と。
先程からずっと俺の隣で座り込み、ニコニコ笑っている。なんかアブナイ。
「お前の必殺技、ある?」
「それって、やれってことですよね?」
「あるならな。」
「ま、あ…」
「ところでポジションどこ?」
「でぃ、DFです。」
「一緒だな?」
えぇええ〜!この女男が、DF?!こんな華奢な顔して守れるのかよ…。いや、人のこと言えないけどさ。
そして、先輩はニコニコ未だに笑顔で。何がそんなに楽しいのだろう。そう思いながらも俺も笑顔を貼付ける。
「なぁ、」
「はい。」
「今、お前、不快じゃない?」
「どうして…です?」
「俺もずっと、お前の顔見てから不快だから。」
何、この先輩。初対面の、しかも年下にそんなキツイこと言うか?泣くぞ?大体、先輩が不快だからといってなんで俺まで不快だって思うわけ?自己中というか何というか…。
「先輩、失礼じゃありません?」
「じゃあ、やめたら?」
「?」
「その作り笑い。薄っ気味悪いったらない。」
「な、んで?」
「逆に聞こうか?何で隠す、本性。」
な…!!
「霧野ー!サボるなって〜」
「浜野は相変わらず元気だな…」
「あ、の、」
「ああ、答えたくないならその気持ち悪い顔ずっと続けていればいい。俺は別に嫌いじゃないぞ?気になるだけ。」
そう言って練習に加わった。俺は言い返すこともできず、呆然と彼の居たベンチを見つめた。
アイツ、気持ち悪いとか何回言うんだよ!
クッソ!!
変な奴…。
悔しさや苛立ちと同時に彼の印象が深く刻み込まれた。
「雷門中…楽しめそうじゃん?」
あのムカつく先輩を振り回してやりたい。俺のことで困って、俺のことをずっと警戒すればいい。俺だけ先輩のこと考えるなんてこと、嫌なんですよ。
それこそムカツクんですよねー。