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□案外お前の事好きみたい。
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あぁ、めんどくさいなぁ。
今は俺の嫌いな授業時間。勉強とか苦手だし、辛いし、面倒臭いし、面倒臭いから嫌いだ、大事なことだから2回言ったぞ?てかさー、勉強好きな奴とかいんのかよ。
はぁ...早くサッカーやりてぇ。
ため息を吐く。無意識にペン回しをしながら黒板に目を向ける。ペン回しをしていたピンク色のシャーペンを何気なく見ていると思い出す。
このシャーペン、アイツの帽子と色が近いカモ、とか考えて買ったんだよなぁ。アイツに"半田らしくないね?"なんて指摘されたときは少し恥ずかしくてホントのことが言えなかったっけ。
ふと、そんな事を思い出していると、また黒板が進む。俺も合わせるようにペンを走らせ、ノートを作成する。
俺の席の隣には窓があり、教室が4Fのためか空が大きく見える。綺麗だな。まるで窓枠が額で、大きな絵を見ている気さえする。
近くの空から遠くの空まで広大に描かれているかのような美しい風景がそこにはあった。
空は全体的に絵の具のスカイブルーみたいな色をしていて、でも遠くに行くほど水で薄めた様に淡く、染まり、素敵なグラデーションを作り上げている。
あの遠い空の方の色もアイツの帽子の色と酷似していて、頭の中は悔しいことにアイツでいっぱいだ。アイツがこの事知ったら、からかってくるか、調子に乗るかのどちらかだろう。どちらも鬱陶しいから言わないけどさ。
なんだよ、俺ってば思っていたよりアイツのこと意識してんじゃん。
改めて、アイツの大切さ?愛しさ?を感じて急に恥ずかしくなる。何を思ったのかシャーペンを空に合わせて見た。
すると、よりアイツの顔が鮮明に浮かんできて顔が緩む。
早く、放課後にならないかな?アイツと唯一、一緒に居られる時だから。
授業なんてそっちのけで、結局、アイツが俺の頭から消えてくれることはなかった。