short
□アイス
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「ばーん、暇か?」
「なんでだよ?」
「アイス買ってきて。」
まただ。いつもいつもコイツはアイスばっか食って...俺のことだって構えよ。いや、絶対こんなこと言わねぇけど。
「腹壊さないのか?」
なんて聞くが答えは分かっている。だけど、俺と少しでも長く話してくれないかと会話を試みる。
「ハハッ。私の身体はそんなに弱くない、心配してくれるのか?」
「えッ///」
ガゼルが俺の腿の所に手を置き、俺を見上げるように顔を近づけて来る。顔が迫ってきて自分の息がかかってしまう位の距離まで来たところで止まり、
「何、顔を赤くしているんだい?もしかして、期待してる?」
「は、はぁ!?///」
俺はコイツの、ガゼルのことが好きだ。けど、ぜってぇコイツに悟られたくない。
すると、ガゼルの手が俺の頬に触れる。
「ふぇ.../// な、なに...?」
「フフフ、何だろうね?」
そう俺に不敵な笑みを浮かべながらからかうように言う。
そして───
「んぅ?んー!!!んッ、ガゼッ...」
───俺と唇を重ねた。
コイツは俺の頭を後ろから押さえて、離れられないようにした。そして俺の中に舌を入れてきやがる。そのせいか、息が出来なくて、辛くてガゼルの肩を両手で強く押す。やべぇ...頭が、何も、考えられない。
そのとき、やっと唇が離れる。俺は、ただただ酸素を体に取り入れようとたくさん息を吸う。
「ばーん。アイス、買ってきて?」
まだそんなことを言っている。今のキスなんかなかったかのように余裕の態度でソファーに腕組座り、俺を見下す。
「が、ぜる。今、キス...///」
「ん?したね。それが?」
それが?...って。その何気ない言葉が俺に酷く突き刺さった。
「.....かよ。」
「?ばーん?」
「お前は、好きでもねぇやつとキスすんのかよ!!!!」
「え?」
「俺のこと嫌いなくせに...」
自分で言って、自分で泣いた。そんな俺を見て、ガゼルは言う。
「私は嫌いなヤツとキスなんかしない。」
「...?」
「はぁ、分からないのか?私はお前のこと嫌いなんて言ってない。」
「で、も...」
「むしろ、好きだよ?だから、お前がアイスに嫉妬しているの見てて愛しかった。」
ガゼルが俺のこと好き?つか、嫉妬...って///全部バレてたのか。俺はコイツには知られたくなかったけど、
「俺、ガゼルが好きだから...き、キスとか嬉しかった...かも///」
少しは素直になってもいいかな?
「それはよかった。じゃあ、もう一回。」
...でも、
「ほら、早くアイス買ってこい。」
「〜ッ!!!」
やっぱり、アイスには負けるのか。