長編小説
□第三話 傷つく仲間
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第三話 傷つく仲間
ガラッ―
「ッ!!銀ちゃん、定春は・・・
えっ・・・定春?」
戸の開く音が聞こえて、神楽が駆けつけてみると、あちこちに血が付着している銀時と、血まみれで弱りきったままの状態で銀時におぶさっていた。
「いやー定春の奴がエリザベスとケンカしたらしくて、見ろよコレ。あちこち血まみれだよ?やべーよどんなレベルのケンカだよ!?
ケンカってこんなに激しいもんなの!?
」
さすがに本当のことを言う気にはならなかった銀時はその場しのぎでしかない言葉を言うしかなかった。
「ほら、定春。
部屋に戻っとけ。」
「・・・わん。」
ゆっくりだが、しっかりとした足取りで部屋へと戻っていった。
先程から俯いたっきり一言も喋らない神楽を気遣い、
「心配すんなって。
・・・定春は本当にケンカして出来た傷だ。
高杉じゃない。」
「・・・本当に?」
「マジだ。」
「・・・良かったアル。
あっ定春の様子見てくるネ!」
タタタタ・・・
「・・・ハァ。
高杉か、厄介なことになりそうだな。
」
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「定春・・・
痛むアルか?
ごめん、私のせいネ・・・。」
「くぅ〜ん・・・。」
神楽は銀時の嘘に気づいていた。
優しい優しい自分を庇ってくれる嘘に。