長編小説

□第五話 敵か味方か
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第五話 敵か味方か

これは神楽達が銀時と別れた時と同じ刻に起こったことである。

サァァァァァァ―
急に降り始めた雨に気づき、襖を開けた。外は雨の音だけがして静かだった。
だが、局内では決して静かなものではなかった。

バタバタバタバタッ
ダダダダダダッ

「た、大変ですー!!」
「局長ォォォー!!!」

先程から電話が鳴りやまず、部下の者は怪我人が出る始末。
何が起こっているかは全く分からない。だから、どう処理すればいいのか分からないのだ。

「フゥー…。
んで、近藤さん。一体何が起こってるって言うんだ。何の騒ぎだ、こりゃあ。」

「それが、その…。
俺にも詳しい事が報告されてないんでな。なんとも分からんよ。
これからとっつぁんから連絡がくることになっているんだが…」

「き、局長ー!
お電話です!早く出てください!」

「電話って誰だよ…
はい、近藤で…」

「俺が電話したら早く出ろ、バカヤローが!!
ワンコールだ、ワンコール!!」

「と、とっつぁん…。」

「まぁ、そんなこたァ今はどーだっていい。
それよりもこの騒ぎだが、高杉の連中が絡んでいる。」

「ッ!?高杉が絡んでるって…」

「しかも、もしかしたら夜兎も絡んでいるかもしれねェ。」

「夜兎って…いやいや、夜兎は違うだろーよ、とっつぁん。」

「いや、傘をさした奴らにやられたという情報がきている。」

「傘をさした奴らって…。」
「ッ!!!」

近藤は思わず神楽のことを思い出し、ふいに土方をチラッと横目で見る。
すると、土方も同じ気持ちだった。
けど、2人には決して神楽だとは信じたくなかった。
特に土方の方は…。

「とにかく夜兎を見つけ次第、確保だ。もちろん、万事屋の嬢ちゃんも例外じゃねェ。見つけたら…

確保だ。」

「ッ!!!
とっつぁん、それは本気か?
けど、チャイナ娘は…。」

「これは、命令だ。
例外はねェんだ。」

「わ、わかった。
隊の奴らには俺から話そう。」

「任せたぞ。」

プッ―

「フゥー…。
えらいことになっちまったな。」

「近藤さん、なんだって言ってたんだ?」

土方は全てを聞いたわけじゃない。だからこそ、松平と近藤の会話が気になった。
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