長編小説
□第六話 高杉との契約
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第六話 高杉との契約
お妙と別れてから、ずいぶんとまた走った。気持ちもグチャグチャで、顔もきっと涙と雨でグチャグチャになっていると思うが、もう気にならなかった。
バチャバチャバチャッ
ファンファンファンファンッ
視界が悪いが少し離れた場所あたりから、大勢の足音、パトカーのサイレンらしきものが鳴り響いたのが聞こえた。
思わず身を隠すように、側に建っていたボロい小屋の裏に入り込んだ。
「ハァ、ハァ…
もしかして、私を捕まえようとしているアルか?
ハァッ、ハァ、ハァ…
こんなところで捕まっちゃ…」
本当は助けを求めたい。
多分あれは真選組の奴らだと思う。
けど求めてしまったら、高杉への裏切りとなり、銀時達には手を出さないという約束が果たされないだろう。
「……。
なんで、なんでこんなことになっちゃったアルか?
なんで……グスッ、
銀ちゃん、銀ちゃんに会いたい…。
会いたい…。」
スッ―
「こんなところにいたのか?
風邪、引くぜ。」
突然の声に驚いて顔を上げた。
傘を差してくれて雨が当たらなくなった。
「まぁ、バカはなんとかって言うからな。風邪引かねェってんならそこにいろ。」
「…バカじゃないアル。」
これからは高杉の側にいなければいけない。側にいればみんな、みんなが救われる…。
そう思うと敵だが、上手く生き延びなければいけない。