長編小説

□第一話 はじまり
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「ククク…。
久しぶりじゃねェか。
銀時に、じゃじゃ馬姫さんよォ。」

「高杉っ…!!」

てっきり、また兄が来たのかと思ったが、それとは別に恐ろしい人が来てしまったと思った。
紅桜の時のように、恐ろしいことになるんじゃないかと思った。

「何しに来たんだよ。
戻ってくるには、まだ早ぇーんじゃねェか?」

冗談を言いながらも、銀ちゃんは私を背に隠し、庇ってくれている。
…私は足手まといだ。

「つれねーこと言うなよ、銀時。
それにお前に用があるわけじゃない。
じゃじゃ馬姫に用があるんだよ、俺ァ。」

ッ!!
銀ちゃんの後ろにいて見えないはずなのに、背中がゾクッとした。

「…へぇ。高杉、お前とうとうロリコンにでもなったか?趣味悪ィな。
やめとけ、やめとけ。」

「クク…
確かに、そいつは俺の趣味じゃねェな。
だが、そいつの夜兎の力は魅力的だ。まだまだ強くなれる。」

「…何が言いてェ?」

ニヤリと笑った顔は、妖艶だった。

「俺は、そいつが欲しい。この腐った世界を壊すためには、そいつの力が必要だ。
だから、俺と来い、じゃじゃ馬。
俺の仲間になれ。
そして、この腐った世界を共に壊そうじゃねェか。
楽しそうだろ?ククク。」

十分な距離があるにもかかわらず、威圧感が凄い。

「おいおい、黙って聞いてればよ。
そんなくだらねェことのために、神楽はやれねェな。」

銀ちゃんは木刀を取り出し戦闘体勢に入る。
だが、奴は刀を抜くどころか、構えもせず無防備に突っ立っている。

「ククッ。別にやり合う気はない、今はな。
今日はじゃじゃ馬姫に挨拶に来ただけだ。
返事はまた聞きに来る。
じっくり考えな。」

考えるも何も、答えなんかとっくに決まってる。

「お前の仲間になんてならないアル!!」

相手が無防備なのだから、銀ちゃんの前に出て叫ぶ。

「おいおい。
よく考えた方が銀時のためになるぜ?

それに必ずお前からやってくるよ。
必ずな。ククク・・・

せいぜい背後に気を付けな。」

そう言うと高杉は去っていった。

「お、おいっ!!高杉!!」

「銀ちゃん……。」

高杉が去りぎわに残していった言葉が気になった。
最悪の事態が頭をよぎる。俯いていると、ふわっと頭を撫でられる。

「心配すんな。
…俺が守ってやっから。」

何時にもない優しい言葉を吐いたせいか、少し照れ臭そうだった。
なんだかさっきまでの恐怖感が嘘のように消えていった。

「うん。」

銀ちゃんが守ってくれるなら、絶対に大丈夫だと思った。


だが高杉が言っていた言葉を理解するのに、そう時間は掛からなかった。
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