長編小説

□第三話 傷つく仲間
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それからしばらくは驚くほど何もなかった。不気味なくらいに。
高杉のことだからたたみ掛けるかのように襲ってくるんじゃないかと思っていた。

だから願わくばこのまま何もない事を願っていた。
だが、想いとは裏腹に残酷な現実が待っていた。


定春が襲われてから1週間。
ケガも完治し、元気に動き回れるようになっていた。

「定春〜久しぶりに散歩でも行くアルか?」
「わんっ!!」

定春も久しぶりの散歩と聞いて尻尾をパタパタさせている。

「あ、神楽ちゃん。
定春と散歩に行くの?
じゃあ、僕も行こうかな。
買い物もしなきゃいけないし、ついでにね。」

「じゃあ酢昆布も!!」
「はいはい。」

あれから神楽が極力独りにならないように、新八と協力しながら側を離れないようにした。
もちろん、周りの奴らにも言っておいた。
ババアやお妙、ヅラ、ゴリラ、沖田くん、マヨラー。
とにかく大勢に言っておいた。

今回、高杉がどう動くか分からない。そんな時に俺が側にいなかったら…

俺が護ってやれなかったら…

「おー…

神楽ァ。」

「?何アルか?」

「…別に。
気ィつけて行って来い。

あと門限は 5時!」

「…プッ。

行ってくるネ、銀ちゃん。」



「まったく、あれじゃパピーが2人アル。」

「あはは。けど銀さんは銀さんなりに神楽ちゃんのこと心配してるんだよ。わかってあげてね。」

「そんなのわかって…」

「ッ!!!ガルルルルッ!!!」

「?…定春?」

「どうかした、定春?」
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