長編小説

□第五話 敵か味方か
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パトカーの中でしばらく沈黙が続いた。
夜だし、ひどい雨で視界が悪い。
ふと、助手席の沖田の顔を見る。
目を閉じていた。また、寝ていると土方が思っていると、

「土方さん、本当にチャイナを捕まえるんですかィ?」

「あァ?ったりめーだろ。
さっき聞いただろ、命令は絶対だ。
俺は任務をまっとうするだけだ。」

「チャイナに惚れてても、ですかィ?」

キィィィィィィィィッ―

「な、何言ってやがる!
誰があんな小娘に…」

「俺はチャイナが好きでさァ。」
「ッ!!!」

「好きな女もろくに護れないで、
何を護れっていうんですかね。」

「……知らねェよ。」

ザァァァァァァァ…
雨の音が強くなって、会話が途切れた。

「ただ、俺達は俺達の仕事をするだけだ。何も出来ねェし、護れねェ。
護ってやれねェんだ…俺達は。」

「……。」


土方の悲痛な表情にさすがに沖田も何も言えなかった。
気まずい雰囲気だけが続いた。
その沈黙を先に破ったのは沖田だった。

「旦那はどうしてますかね?
チャイナを護ってんですかね?」

「…。
総悟、行くぞ。」

「えっ、どこにですかィ?」

「……。」

沖田の問いに答えることなく、車を走らせた。土方が答えてくれないので、周りの道をみていると、万事屋に向かっていた。

END
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