長編小説

□第八話 それぞれの気持ち
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―銀時side―

お妙が神楽を追って行った。
本当は自分が探しに行くべきだろう。
けど足が動かねェ。頭が動かねェ。

『自分だけが悲しいとでも思っていればいいでしょ!!』

さきほどのお妙の言葉が脳から離れない。分かってる、俺だけじゃないってことくらい。

「あー、クソ。
どうすりゃあいいんだよッ。」

ガラッ―

「旦那ァ、ちょっといいですかィ?」
「…チャイナのことについて聞きたいことがある。」

一人になりたいと思っても、周りはそうさせてくれない。

「…別にいいよ?
話すことなんか何もねェけど。
俺も聞きたいくらいだし。俺にも分かんねェんだよ、何が起こってるのか。」

自嘲気味に話す俺に少し驚いているのか、2人は顔を見合わせた。

「今回の騒動は高杉が絡んでいる。
そして…夜兎も。
だから、真選組に夜兎の捕獲命令が出た。
チャイナにも…だ。」

「ッ!!!」

土方の言葉を聞いて銀時の顔つきが一瞬変わった。

「それは、どういうことなんだ…。」
「俺達にも分からねェ。」

「旦那はどう動くんですかィ?」
「どう動くって…」

『ここを、出ていくネ。』
『ずっと、ずっと大好きだったアル。』
『バイバイ、銀ちゃん。』

神楽を追いかけたかった。引き留めたかった。護りたかった。
だけど、俺は神楽に護られてしまった。神楽が全部背負ってしまった。
そんな自分が今更どの面で…
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