名探偵コナン短編集

□警察学校組救済
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警察学校を卒業し、警視庁警備部機動隊の爆発物処理班に配属された松田と萩原。今日も爆弾がマンションに仕掛けられているとの一報が彼等の耳に入り、出動する。

萩原は仲間を連れて爆弾解体に向かい、松田は、外で待機。マンションの住民は、全員避難し終えていた。ある女の子を除いては・・・。

「んじゃ、ゆるゆると行きますか・・・」

萩原は、防具服を着用せずに爆弾を解体していく。それが彼のスタイルだ。

コードを順番に切り、最後の2本を切ろうと刃を入れた時、事態は、あらぬ方向へと傾いていく。爆発まで後20分。

「萩原さんっ!!」

「何だ?もう少しで解体できるから待て」

「しかし、犯人らしき人物から・・・
子供を1つ下の階に隠したとの事。その子供の隣に爆弾を仕掛けたと・・・」

仲間からの報告に萩原は、爆弾の解体を素早く終えると、仲間に非難するよう指示を出した。

自分は、子供を助けるべく1階下のフロアへ降りて、子供を探した。爆発まであと15分。

探してやっと見つけた子供の隣には、先程自分が解体した爆弾と同じタイマー型。爆発まで3分を切っていた。

「っ?!しかたねぇ・・・。お嬢ちゃん、ちょい、失礼っ。目ぇ、つぶっときな」

萩原は、子供をヒョイっと抱き抱えると、窓を開けて飛び降りた。下がゴミ収集場所になっており、2人はゴミの上へ着地。着地したと同時に爆発が起きた。

「ふー、危機一髪だったぜ・・・。お嬢ちゃん、大丈夫か?」

萩原は、安全な場所まで移動すると、子供を下ろし無事を確認する。子供は、全然泣かず、一言も喋らない。

ただ、萩原の問いに頷くだけ・・・。萩原は、子供の事を観察する。金髪碧眼の女の子、見た目は小学生1年生くらいと推測。喋らないのでお人形のようだ。

将来は、さぞかし美人になるだろうなぁっと思っていると、松田が彼を探しやって来た。

「萩原っ!!お前、防具服着ろって言われただろっ!!」

「あんな暑苦しいモン、着てられるかって!!」

女の子を放置し、喧嘩をし始めた2人。
彼女は、じっと見つめるだけ。

「で、爆弾は?1つだけじゃなくて2つあったんだな?」

「あぁ、同種のものでタイマーが3分切ってた。この子の隣に・・・」

萩原につられて視線を女の子に向けた松田。

「はぁ〜!?」

「で、解体せずに置いてきた。しかし、泣きもしないんだよ。喋らねぇーし」

子供の扱いに不慣れな萩原は、松田に嘆く。女の子は、松田を見つめるとニコリと笑った。その笑った顔が、ある友人を思い出させた。

「「っ!?」」

無表情だった女の子は、2人に笑顔を見せると、クルリと背を向けて何処かへ駆けて行く。

「「お、おいっ!?待てっ!!」」

走り出した女の子を追う2人。所詮、子供の足と大人の足、当然追い付くかと見えた。

女の子が路地へ入って行く。入って行った先は行き止まり。萩原達は同時に駆け込むが、そこには子供の姿はなかった・・・。

「え?」

「どこに行きやがった?」

辺りを見渡す限り、何かのテナントか、今は使われていないであろうアルミ製のドアがあり、ゴミバケツや廃材が散乱している。

萩原達は2.3分そこにいたが、諦めて去っていく。2人の足音が完全に聴こえなくなると、ドアがキィーと音を立てて開く。

そこには、先程まで2人が探していた女の子が・・・。黒の燕尾服を着た青年を後ろに従えていた。

『ふー、行ったかな?』

「行ったみたいだな。お嬢」

『ありがとう、ノア君。助かった』

「どうも。さてと、帰りますか。お嬢?」

『えぇ』

2人は路地から出ると近くに留めてあった黒のレクサスに乗り込む。

黒のレクサスは、萩原達とすれ違う。女の子は、車の中から2人の姿を確認すると、笑みを浮かべ、こう言った・・・。

『またね。萩原さん、松田さん、またいつか会えるから・・・』

真幸、7歳。まだ、この時は素顔のまま・・・。
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