名探偵コナン

□第10話
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『クシュッ・・・。寒いわねぇ・・・』 

 真幸は1人で寒空の下、学校から自宅へ向かっていた。新と翔は大会が近い為、残って練習だ。

『ん?あの猫、【ポアロ】の大尉じゃない。あ、入っちゃった。しかも、冷凍車だし・・・』

 路肩で止まっている宅急便のコンテナへ入っていく大尉を見つけた。彼女は、助けようと中に入り大尉を抱き上げる。

『大尉。こんなところに入っちゃダメでしょうが・・・ん、毛糸?』

 大尉の爪に毛糸が絡まっていたが、傍には毛糸玉はない。

「あ、見っけ!あれ、お姉さん誰?」

「真幸姉ちゃん」

『コナン君。大尉がこの中に入ったから助けにね』 

 するとそこへ、小学生の女の子が2人入って来た。あとからぞろぞろと3人集まる。その中にコナンがいた。彼らも大尉を追いかけて入ったそうだ。

 とにかく出ようとするも、時すでに遅しコンテナの扉が業者の人の手によって閉められた。声をかけるも聴こえなかったらしく走り出した。

 凍ってしまうと慌てだす光彦達に大丈夫だと声をかけるコナン。見ると本日指定の未配達の荷物があるらしく次の配達先に着いたら出してもらおうという事になった。

『哀ちゃんだっけ?その服どうしたの?ほつれてるけど・・・』

「あ・・・。ぇ・・・(ぁ、ちょ・・・)」

 ホッと胸を撫で下ろしたコナン達は扉が開くのを待っている。真幸は哀のほつれた服を見て声をかける。哀は説明しよとした途端、扉から出ていた毛糸がどこかに引っ掛かり巻き取られていく。

「止まったみたいですね」

 歩美や元太、光彦、コナンは開けてもらう為、扉の前に集まるも哀の声でピタリと止まる。コナンは腕時計についているライトで彼女を照らす。

「お前その恰好・・・」

「毛糸がどこかに引っ掛かって、持って行かれたの。照らさないでくれる」

「あ、悪い・・・」
 
 下着姿の彼女をどうしようか悩んでいると業者が扉を開け、入ってくる。素早く荷物の陰に隠れ、やり過ごす。

 業者達は荷物を探しながら奇妙な話をする。【大事な証人】【荷物を落として顔と名前を覚えてもらう】等、意味不明だ。彼らは、さらに最後に、こう付け加えた。

「声なんか出せる訳ねぇーんだから・・・」

 コナンは、この言葉を不審に思い、業者がいなくなってからコンテナの中を調べ始めた。

『哀ちゃん、とりあえず私のブレザー着て』

「え?でも・・・」

『良いから、そのままじゃ、凍死するわ』

「あ、ありがとうございます・・・」

 真幸はブレザーを脱ぎ、哀に渡す。ブラウスのみになる彼女を見た哀は躊躇するも、次の言葉に素直に従い、ブレザーを着た。

「どうやら、俺たちの前に先客がいたようだぜ」

 コナンは、業者の言葉をヒントに先客を見つけたようだ。しかし、客は段ボール箱の中。

『声を出せない=亡くなっているとか・・・?』

「あぁ、その様だな。それに、この角がよれている。死斑が出ないよう動かした証拠がある」

『あの業者のふりをしている2人組が犯人?』

「おそらく」

 真幸はコナンと一緒にヒントを解いていき、犯人が宅配業者になりすましていると推理した。

『で、どうするの?見つけた以上、犯人を捕まえないと私達も・・・』

「だ、大丈夫。俺達が逆に届けてやるんだよ。監獄にな」

 不安で怯える真幸と元太達を宥め、ニヤリと笑ったコナンだった・・・。
 
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