名探偵コナン

□第11話
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 冷凍車事件から1週間後、真幸はポアロでコナンの帰りを待っていた。勿論、救い出してくれたお礼を兼ねて彼の大好物であるレモンパイを手土産に・・・。

「真幸姉ちゃん、お待たせ!!行こう」

「気を付けてな」

 ドアベルが鳴り、上の事務所から降りてきたコナンは彼女の手を掴むと外へ飛び出した。薫も2人をドアから見送った・・・。

「着いたよ。此処が博士の家」

 ポアロから差程遠くない場所にアガサ博士の家はあった。その隣の洋館はコナンの遠い親戚である【工藤新一】の家。今は、大きな事件を追っているため不在。代わりに火事で住む所を失った【沖矢昴】という院大生に貸しているそうだ。

「真幸姉ちゃん、連れて来たぞー!!」

 コナンがそう言うとドタドタト大きな足音が奥から聴こえてきた。

「「「「姉ちゃん/真幸お姉さん!!」」」」

 元太、光彦、歩美、哀の順番で出迎えてくれた。中へ入ると優しそうなお爺さんが、コナンが博士だと紹介してくれ、お互い頭を下げた。

 真幸がお土産にと持って来たレモンパイを差し出すと、元太達から歓声が上がり、ジュースや紅茶、コーヒーと一緒に出す。賑やかなティータイムが始まった・・・。

 事件後、真幸の心配をしていたという元太達は、彼女の元気そうな笑顔が見れて安心する。それからは、小学校での出来事を話してくれた。コナン達は【少年探偵団】を結成し、今までたくさんの事件を解決してきたと得意気に話してくれ、楽しい時間を過ごす真幸。

 そこへ、来訪を告げる音が・・・。コナンが出ると沖矢昴が鍋を持って立っていた。

「昴さん、いらっしゃい」

 コナンは彼を招き入れると、真幸達の元へ。
昴の顔を見た元太達は嬉しそうに彼へ駆け寄る。哀は警戒し、真幸の服を掴む。

「また、料理を作り過ぎてしまって・・・。おすそ分けに」

「今日は何だ?」

「シチューですよ」

「「「食べようぜっ!!/そうしましょう!!/わーい!!」」」

「いつも、すまんのう・・・」

 元太、光彦、歩美は昴のシチューに歓喜を挙げ、キッチンへ掛けて行く。後を追うように鍋を彼から受け取った博士が続く。

「おまえらなぁ〜・・・」

 コナンは呆れているが、昴は笑って返した。

「おや、彼女は?」

 部屋を見渡し、真幸の姿を捉えた昴はコナンに問う。哀は警戒をさらに強め、彼女の前に出て抱き付いた。

『ぅわぁ・・・!?哀ちゃん、どうしたの?』

「灰原ぁ〜?」

 突然抱き付いて来た哀の行動に困惑しながらも彼女の背中を摩る真幸。コナンにも理解不能だった・・・。

『えっと・・・貴方が【沖矢昴】さんですか?行平真幸です』

「どうも、沖矢昴です。東都大学大学院工学部で博士課程を専攻しています」


『あ、都東大学付属中等科学校の2年です・・・』

 哀が抱き付いているので、ソファに座った状態で自己紹介する真幸。昴も名乗る。必要でないであろう大学名を明かして・・・。真幸も彼に習い、学校名を言う。

「都東大学付属?真幸お姉ちゃん、頭良いんだね?じゃぁ、昴さんとも面識あるんじゃないの?」

『大学付属でも外部受験での入学者とは接触禁止だから、彼と会うのは初めてよ』

「え・・・えぇっ!?」

「あら、余程セキュリティが頑丈なのね」

『そう・・・なのかなぁ?高い塀で囲まれてるから、そうとも言えるかしら』

 2人の共通点が都東大学と知り、驚くコナン。2人が既に出会っている事を推測したが、真幸の学校の方がセキュリティが頑丈のようだ。

「い、行ってみたいなぁ。真幸姉ちゃんの学校・・・?」

『ごめんね、部外者の見学者禁止なの』

「じゃぁ、受験っ!!」

『受験は、幼等科からしか受け付けてないの』

 コナンは彼女の学校に興味を持ち、見てみたいと申し出たが、断られる。受験を持ちだしたが申し込みはしていないという。

「よ、幼等科?」

「【幼稚園】の事ですよ。一部の学校では、そう呼ぶ所もあるようですし。中等科に居るという事はその幼等科で受験をして入ったという事でしょう。かなりの狭き門です」

 なかなかの学校ハードルに撃沈したコナン。帝丹高校も私学の進学校だか、上には上があった・・・。

「ますます、興味が湧きましたよ。行平真幸さん」

『ありがとうございます。沖矢昴さん』
 
 昴は、そう言い残し【工藤邸】へ帰って行った。真幸は、何か感じ取ったのか冷たく返した。

 夕方になり、元太・光彦・歩美の3人は自分の家へ帰って行く。コナンは今日博士の家に泊まるという。真幸も薫がポアロへ行くため一緒に出た。

 【工藤邸】の前を通り過ぎようとしたが、門に寄りかかり、昴が真幸を呼び止める。

「行平真幸さん。少々お時間宜しいですか?」

『えぇ、奇遇ですね。私もあるんですよ?【沖矢昴】いいえ【赤井秀一】さんに・・・』

 真幸は振り返り、昴を見てにっこり微笑んだ。彼は、細めていた眼を開く。その目は翡翠色で、しっかりと真幸を捉えていた・・・。
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