名探偵コナン

□第12話
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行平一樹警視正との話が終わり、その足で黒田管理官の所へ向かう零。彼の足取りは重く、昨日の自分の行いに腹が立った。

何故あの時、真幸をベルモットと思って銃を突きつけたのか。声も瞳の色、仕草も違う彼女を・・・。

「失礼します・・・」

零は、ドアをノックし中へ入ると黒田へ黙って頭を下げた。彼は座っていた椅子をくるりと回転させると、頭を下げる零を見上げた。

「自分のした事が分かっているな?降谷」

「はい。勿論です・・・」

「では、処罰を言い渡す。明日からの1週間の自宅謹慎を命じる。但し、【ポアロ】等の潜入捜査は、続行しろ」

「はい」

「謹慎後、今後【行平真幸】への接触を一切禁じる。【安室】としてもだ。尚、彼女の兄、従兄姉達とは、仕事上の会話のみ許す。私語は一切するな。話は以上だ」

黒田から下された処罰に零は、頭を下げたまま返事をする。自宅謹慎は、覚悟の上だったが、真幸との接触を禁じられ、更に同僚達との会話をも制限されるとは考えていなかった為、驚きで頭を上げた。

頭を上げた零に黒田は、目線を合わさず、くるりと椅子を回転させて背を向けた。

零は、しばらく黒田の背中を見つめたが、一礼すると黙って部屋を出て行った。

零が出て行くと、黒田は椅子から立ち上がる。窓へ向かうと窓から外を見た。窓からは、真幸が真人と一樹に手を引かれ歩いているのが見える。

真人が何か面白いことを言ったのか、彼女の顔が綻ぶ。ニコニコと笑う彼女の頭を一樹が撫でる。撫でる彼からは笑みがこぼれていた。

堅物で笑った所を見た事がなかった黒田。一樹の意外な一面に驚きを隠せなかったが、黒田は3人を暫く見つめた後、仕事に取り掛かった・・・。
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