名探偵コナン
□第16話
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12月某日、警察庁の一室で1組の夫婦がある男と対面していた。両者お互いに自己紹介を行う。
「初めまして。行平真幸の父・行平幸一です」
「妻の真珠です」
「降谷零です」
「じゃ、終わったら呼んでくれ」
「えぇ・・・。一樹兄さん、ありがとう」
零に付き添っていた一樹は、自己紹介を終えると席を立ち、部屋を出ていく。彼が出ていくと、3人は改めて机を挟み向き合う。
「あのっ・・・大事な娘さんに今回は大変な事をしてしまい、申し訳ありませんでしたっ!!」
零は頭を勢い良く下げ、謝罪を述べた。
「顔を上げてくれるかい?降谷君。今回の事がなくても僕達は、君に会うつもりだったよ。しかし、事が事だからねぇ・・・」
「起きてしまった事は、仕方ないわよ。あとで真幸ちゃんに謝っておいてね」
「はい・・・」
2人の言葉にやっと顔を上げる零。幸一は、零の顔を見て、笑う。
「よく似てるよ。僕の仕事仲間だった男にね」
「はぁ・・・」
「実は、僕の前職はFBI捜査官でね」
「FBIっ!?」
「君は嫌っているだろう」
「・・・えぇ」
「ハハ・・・。ハッキリと言うね。ますます、彼に似てるよ・・・。降谷君、君の父・降谷透にね・・・」
「っ!?」
「透の若い頃にそっくりだ。零君、君は彼の息子だね?」
「は・・・はい。降谷透は、僕の・・・父です」
「そうか・・・。悪いけど、残念な知らせだ。透は亡くなっている。今まで、連絡するのが遅くなって申し訳ないと思っている」
「いいえ・・・。で、父はいつ・・・」
「11年前に捜査中に爆発事故に巻き込まれてね・・・」
「11年前・・・・・そうでしたか」
「こっちで彼の葬式、埋葬、遺品整理は行ったよ」
「遺品整理・・・。あの、その中に指輪がありませんでしたか?これと同じ物で・・・ベビーリングに付いている石が真珠だったと思うんです」
零は幸一の話を聴いて身に付けていたネックレスを外し、2人に見せる。
「それと・・・妹がいるんです。父と一緒にいた筈なんです。埋まれて間もない赤ん坊で、父が亡くなった11年前に一緒にいたなら2,3歳の年齢です」
「・・・・・。いや、指輪はなかった。それと妹さんの件だが・・・」
「・・・・・はい」
「透が事前に何処かに預けたようでね。行方は分からなかったよ。でも、君に手紙を残していた」
零は妹の事を尋ねたが、幸一も知らなかった。ただ、父と一緒にいたことが分かった。2,3歳までは、存在している。
幸一は、1通の封筒を零に差し出した。零は受け取り、筆跡を見る。確かに父・透の字。中身を見ずスーツの内ポケットに仕舞う。
「ありがとうございます。帰ってから読みます」
と言い、幸一に頭を下げた・・・。