名探偵コナン

□第3話
2ページ/3ページ

「そうでしたか。僕に似た男の子を・・・」

「人違いして、ごめんね・・・」

「いえいえ。あ、ありがとうございます」

 カウンター席へ蘭と新が座って話をする。梓はお詫びにと飲み物を出す。見た目と声が新一なのだが仕草や話し方が違い、丁寧でいい所のお坊ちゃん風だ。敬語を使う所は安室に似ている。

「で、僕に似た男の子でしたよね。知っていますよ、1人」

「え?」

「でも、同い年ですが」

「そっか・・・」

「すぐに、会えますよ。実は彼らとここへ来ようとしたんですが、彼がこの近くの駐車場に止めてある車に興味を持ちまして・・・」

「車?」

「えぇ・・・白い車ですよ。かなり興奮した様子で見てましたから置いてきました。もうそろそろ・・・」

 澄まして話す新。彼の顔は楽しそうだ。

「真幸、何すんだっ!?いてーだろーがっ!!」

『貴方が車に夢中になってる間に新が先に行ったのっ!!行くわよ。ポアロっ!!』

「もーちょっと・・・」

「だーめっ!!」

 そこへ何やらお店の近くで若い男女の言い争う声が聴こえた。どうやら、女が男を引っ張っているらしい。

 5分後カランコロンと扉を開け、男女が入ってくる。先程まで言い争っていたらしく、2人はゼイゼイと息が上がっていた。新と同じ制服を着ていた・・・。

「お疲れ。2人共」

『お疲れ・・・じゃない・・・わよ。全く・・・』

「良いじゃんかっ!!あの車は・・・」

『はいはい。マツダのRX-7でしょ』

「そう・・・」

「ストップ!!とりあえず座ろう」

 息の上がっていた2人に声をかける新。女の子の方は息切れし、男の子の方は息を整える。暫くすると2人の第2ラウンドが始まろうとしていた為、止めに入りカウンター席へ。

『疲れた・・・』

「俺は、まだ見たかった」

『付き合い切れない・・・』

 新を挟んで座る2人。男の子の方は車に未練があるらしく、女の子の方は振り回されて項垂れていた。

「店員さん達が言っていたのは彼でしょう。翔。彼は僕の双子の弟です」

「九條翔です・・・俺、何かしたっけ?」

『この間、此処に来たからじゃない?あ、行平真幸です』

「あぁ、真幸と来たな。それで?」

 新の言葉にきょとんとする翔。さらに助け船を出す真幸。彼女の言葉で思い出したようだ。

「実はね・・・」

 梓が事のあらましを話し出した。翔を見てある男の子、コナンを思い出し、蘭と話している所へ自分たちが来たという訳・・・。

「へぇ〜、江戸川コナンねぇ・・・」

『2つとも推理小説作家の名前ね』

「そうだな・・・」

「工藤・・・居たか親戚に?」

「さぁなー?会ってみねぇーと、どうも・・・」

『蘭さんが持ってた写真は見覚えがないんでしょう?』

「「う〜ん・・・・」」

 蘭が園子と出かけた後も居た3人。悩みに悩んでいた。

「ごめんね。悩ましちゃって・・・」

『いいえ・・・』

 悩む3人に、申し訳なく思う梓であった・・・。

「しかし、世の中には自分に似た人が3人いるって話ですし・・・。はい、どうぞ。ハムサンドです」

「でもそれって迷信ですよねぇ・・・」

「えぇ・・・。それにしても、どこの学校かな?見かけないけど・・・」

 安室が3人の元へハムサンドと飲み物を置いてカウンター越しに見つめる。

『「「へ?」」』

「君たちの学校だよ?今日は土曜日だし、授業なんてあるのかい?」

「あぁ・・・。土曜日は午前だけの授業なんですよ」

「へぇ〜。進学校かい?」

「・・・まぁまぁかな」

「『・・・・・』」

 ハムサンドを食べていた3人は同時に安室を見る。新は歯切れの悪そうに答え、翔と真幸は目配せし、黙り込んだ。

「あれ?・・・」

「じゃぁ、推理して見せてよ。俺らがどこの学校の生徒か?」

「意外と挑戦的だね。君」

 黙り込んだ3人に安室も黙り込んだが、翔がニヤリと笑って安室を見上げる。すると、彼は翔にお得意の笑顔を貼り付けて答えた。




















 
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ