名探偵コナン
□第3話
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「そうでしたか。僕に似た男の子を・・・」
「人違いして、ごめんね・・・」
「いえいえ。あ、ありがとうございます」
カウンター席へ蘭と新が座って話をする。梓はお詫びにと飲み物を出す。見た目と声が新一なのだが仕草や話し方が違い、丁寧でいい所のお坊ちゃん風だ。敬語を使う所は安室に似ている。
「で、僕に似た男の子でしたよね。知っていますよ、1人」
「え?」
「でも、同い年ですが」
「そっか・・・」
「すぐに、会えますよ。実は彼らとここへ来ようとしたんですが、彼がこの近くの駐車場に止めてある車に興味を持ちまして・・・」
「車?」
「えぇ・・・白い車ですよ。かなり興奮した様子で見てましたから置いてきました。もうそろそろ・・・」
澄まして話す新。彼の顔は楽しそうだ。
「真幸、何すんだっ!?いてーだろーがっ!!」
『貴方が車に夢中になってる間に新が先に行ったのっ!!行くわよ。ポアロっ!!』
「もーちょっと・・・」
「だーめっ!!」
そこへ何やらお店の近くで若い男女の言い争う声が聴こえた。どうやら、女が男を引っ張っているらしい。
5分後カランコロンと扉を開け、男女が入ってくる。先程まで言い争っていたらしく、2人はゼイゼイと息が上がっていた。新と同じ制服を着ていた・・・。
「お疲れ。2人共」
『お疲れ・・・じゃない・・・わよ。全く・・・』
「良いじゃんかっ!!あの車は・・・」
『はいはい。マツダのRX-7でしょ』
「そう・・・」
「ストップ!!とりあえず座ろう」
息の上がっていた2人に声をかける新。女の子の方は息切れし、男の子の方は息を整える。暫くすると2人の第2ラウンドが始まろうとしていた為、止めに入りカウンター席へ。
『疲れた・・・』
「俺は、まだ見たかった」
『付き合い切れない・・・』
新を挟んで座る2人。男の子の方は車に未練があるらしく、女の子の方は振り回されて項垂れていた。
「店員さん達が言っていたのは彼でしょう。翔。彼は僕の双子の弟です」
「九條翔です・・・俺、何かしたっけ?」
『この間、此処に来たからじゃない?あ、行平真幸です』
「あぁ、真幸と来たな。それで?」
新の言葉にきょとんとする翔。さらに助け船を出す真幸。彼女の言葉で思い出したようだ。
「実はね・・・」
梓が事のあらましを話し出した。翔を見てある男の子、コナンを思い出し、蘭と話している所へ自分たちが来たという訳・・・。
「へぇ〜、江戸川コナンねぇ・・・」
『2つとも推理小説作家の名前ね』
「そうだな・・・」
「工藤・・・居たか親戚に?」
「さぁなー?会ってみねぇーと、どうも・・・」
『蘭さんが持ってた写真は見覚えがないんでしょう?』
「「う〜ん・・・・」」
蘭が園子と出かけた後も居た3人。悩みに悩んでいた。
「ごめんね。悩ましちゃって・・・」
『いいえ・・・』
悩む3人に、申し訳なく思う梓であった・・・。
「しかし、世の中には自分に似た人が3人いるって話ですし・・・。はい、どうぞ。ハムサンドです」
「でもそれって迷信ですよねぇ・・・」
「えぇ・・・。それにしても、どこの学校かな?見かけないけど・・・」
安室が3人の元へハムサンドと飲み物を置いてカウンター越しに見つめる。
『「「へ?」」』
「君たちの学校だよ?今日は土曜日だし、授業なんてあるのかい?」
「あぁ・・・。土曜日は午前だけの授業なんですよ」
「へぇ〜。進学校かい?」
「・・・まぁまぁかな」
「『・・・・・』」
ハムサンドを食べていた3人は同時に安室を見る。新は歯切れの悪そうに答え、翔と真幸は目配せし、黙り込んだ。
「あれ?・・・」
「じゃぁ、推理して見せてよ。俺らがどこの学校の生徒か?」
「意外と挑戦的だね。君」
黙り込んだ3人に安室も黙り込んだが、翔がニヤリと笑って安室を見上げる。すると、彼は翔にお得意の笑顔を貼り付けて答えた。