名探偵コナン

□第7話
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 ようやく放心状態から脱した園子は、真幸の隣に腰を下ろし、根掘り葉掘り聞き始めた。蘭に至っては、最初は止めに入っていたが園子の勢いに負け、試験勉強を細々と再開する。

 真幸は、園子の質問に嫌な顔を1つもせずに丁寧に答えた。何故か、安室も梓と一緒に真剣に聞き入っている。手は動いてるが。

 真幸の話をまとめると、婚約者は、同い年男子で親同士が学生の頃から仲が良く家族ぐるみで付き合いがあったそうだ。婚約者の話が持ち上がったのは、小学校高学年の頃らしい。1年程前から両親とイギリスで暮らしていたが、今一時帰国しているらしく先程電話があったとの事。

「へぇー、そうなんだぁ。ねね、彼の写真とかないの?見てみたいなぁ」

『写真ありますけど、今から本人に会えますよ』

「え?さっきの電話って・・・」

『えぇ、此処に迎えに来てくれます』

 真幸の言葉に重なるようにドアベルが鳴る。そこには、絵本から飛び出した様な金髪碧眼の王子様が立っていた・・・。

 その場にいた者が彼に目を奪われ、流石の安室も目を見張る。学生の自分を見ている感覚に陥った。

「(え?学生時代の僕にそっくり
・・・)」

 彼は、自分が注目されているのも気にしていない様子で真幸の方へ向かう。

「真幸。迎えに来たよ」

 真幸に手を差し伸べて口を開いた彼ね声は、まるで・・・。

「あ、安室さんの声にそっくりっ!!」

 園子の叫びにも似た驚きの声が店内に響き渡る。真幸と安室そっくりの彼以外の者が大きく頷いた。その頷きに彼は目をパチクリさせる。

「安室さん?」

「あ、僕です。安室透です。此処でバイトの傍、私立探偵してます」

 安室は、そう言うと名刺を渡す。

 彼は受け取った名刺に目を通して小さく笑うと、こう言った。

「へぇー、私立探偵。実は僕の兄も探偵をしてるんですよ。高校生探偵ですけれどね」

「こ、高校生探偵・・・?」

 今まで黙っていた蘭が、その言葉に反応して立ち上がった。

「えぇ。聴いたことありません?【ロンドン帰りの高校生探偵】って。当の本人は、怪盗キッドを捕まえる為に日本にいた筈がロンドンへ帰国。今は何故か、フランスで休暇中ですが」

「ロンドン帰り・・・って、まさか、白馬探・・・?」

「えぇ、あってます。その弟の衛です」

 自分の説明に答えた蘭に目を合わせニコリと笑う。

『言い方がキザだけどねー。フランスで休暇中なの?学校は?」

「キザなのは、弟の僕も否定しないけど。レポート提出でやっていけてるって。この前、単位1つ落として母親が怒りのコールしてた。賢いのか、抜けてるのかわからない人だよ。全く・・・」

 真幸のしれっとした言い方に彼は頭を掻きながら同意する。弟からの言われように兄の面子は丸潰れだ。

「しかし、お兄さんとは顔は似てませんね」

「親戚から兄は父親似で、僕は母親似って言われますよ。母親が英国人なんで髪色と瞳の色は遺伝です」

と安室に説明する。園子はふと真幸を見ると、容姿について尋ねた。

「という事は真幸ちゃんもハーフ?珍しい瞳の色してるし」

『あぁ・・・この瞳の色は母親譲りです。母がフランスとイギリスの血を引く日本人で父がドイツとオーストリアの血を引くの日本人なんです』

「へぇ〜、日本人なんだ」

『えぇ』

 蘭達は納得したようで・・・。そこへ安室が割り込む。

「ところで蘭さん達、試験勉強は?」

「「あ・・・」」

 試験勉強しに来た筈が話が脱線して、明日の試験では痛い目に合うと顔を青くした。
 
「ちなみに明日は何の教科なんです?」

「えっと・・・英語と世界史、数学・・・」

「じゃぁ、適任者がいますよ」

「「へ?」」

「真幸ちゃんと衛君です」

「2人共外国育ちそうですし、英語と世界史は許容範囲でしょう。数学は僕が教えます。ね?」

 安室は、いいですよね?と真幸達に了解を得て2人を蘭達のテーブルへと案内。そして蘭達の試験勉強が本格的に始まったのであった・・・。
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