名探偵コナン

□第10話
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「いらっしゃい、大尉。今日は、いつも通り遅かったね。ん?何、タクシーのレシート?」

ポアロへとやって来た大尉へ餌を与えていると、首輪にレシートが挟んであった。見ていると、中から安室が声を掛けた。同時に梓の手から風にさらわれてレシートが飛んでいく。

レシートが飛んで行ったなど、知らないコナン達は、徐々に減っていくコンテナの中で隠れていた。大尉が出て行ってからかなりの時間が経っていた。

徐々に体温が奪われていく中、真幸は左脚に違和感を感じた。左足が痺れを起こし、動かすたびに激痛が走っていた。

「(左脚の感覚が・・・。痛い)」

顔を歪め、痛みに耐える真幸。幸いにもコナン達には気づかれてない事が救いだったが、下着とブラウス1枚の姿には限界がそこまで来ていた。

「お姉さん?・・・。ちょと、お姉さんっ!?」

哀が全く話さなくなった真幸を不思議に思い、声を掛けたが反応がない。哀は、いつの間にか大声で叫んでいた。

哀の大声に驚き、コナン達は、真幸に目を向ける。彼女は、低体温症で意識障害を起こしてしまった・・・。

その頃、安室は梓からレシートの事を聞き、コナンからのメッセージと察してレシートを探しに行く。

一方コンテナの中では、 哀が真幸を暖めてあげていた。

『っ・・・』

「お姉さん?!良かった。コナン君!!」

「姉ちゃん、目ぇ覚ましたぞ!!」

何とか目を覚ました真幸。しかし、脚は激痛を伴ったまま。

「ごめんなさい。お姉さん」

哀は暖めながら謝ってきたが、真幸は優しく微笑むだけ。自分がブレザーを貸していなかったら哀が低体温症で意識障害を起こしていたと。自分で良かったと言い、哀の頭を撫でた。

「・・・・・ありがとう」

『どういたしまして・・・。それより降りてくれる?』

真幸は、哀に自分から降りてくれるよう頼んだ。実は、左足の激痛が哀の体で更に悪化しているのだ。

「ダメよっ!!まだ、冷たいわ」

哀は、身体がまだ十分に温まってない事を理由に降りる事を拒否。コナン達も心配してまだ、暖を取るべきだと主張した。

真幸は、なかなか降りない哀とコナン達に渋々、左脚の痛みの事を伝えた。あまり心配されたくないので、少し痺れているだけだと嘘をついたが。

真幸の言葉に仕方なく従い、降りた哀は、背中に抱きついて温めてくれた。この体勢も脚に負担がかかるのだが、心配してくれている手間、仕方ない。痛みに耐えながら、背中越しに哀の体温を感じていた。

『ありがとう、哀ちゃん。もう大丈夫よ』

数十分後ようやく体温が戻り、脚の痛み以外は普通に動かせる体になった事を伝え、哀に離れてもらった。宅急便は、博士の家の近くまで来ていた。

真幸が意識障害を起こしている間に、コナンが次の策を練っていたらしく、博士の家に今日届くはずのケーキがあり、コナン達の帰宅時間に合わせて指定宅配をしていた事を思い出し、コンテナの中を探すと、出てきたようで、その荷物の伝票にコナンは、あるメッセージを残したというのだ。

「伝票に【工藤様方】と書いたぁ〜!?」

驚く元太と光彦。コナンの話によると、博士の家の隣には彼の遠い親戚である工藤さんの家があり、訳あって、その家に沖矢昴という大学院生が居候している。その彼に今度は、助けてもらうというのだ。コナンの提案に哀以外の子供達は、眼を輝かせるのであった・・・。
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