名探偵コナン

□第10話
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安室が病院へと車を走らせていると、意識を失っていた真幸が目を覚ました。暖房を弱くし、窓を少し開けて外の風を入れる。

「真幸ちゃんっ!?もうすぐ病院着くからね」

『待って・・・家に・・・』

「何、言ってるんだ?君、意識障害を起こして・・・」

『家に・・・主治医が・・・いるの。だから・・・お願い・・・』

安室が病院とキーワードを出すと、真幸は、顔を歪めて必死に家に送って欲しいと頼んだ。左脚の激痛が、意識を取り戻した事で走っているのを感じる。

「わかった。左脚、痛む?痺れているだけだって聞いたけど、相当な激痛が走ってるんじゃない?」

『ハハ・・・大丈夫。事故の後遺症よ。車に轢かれそうになっていた人を庇って自分が轢かれたんだから。その人、次の日に結婚する恋人の両親に挨拶しに行くって、後で知ったわ』

「・・・その人にとって、君は【命の恩人】だね」

『そうかもね・・・。安室さん、はい』

 左脚の原因の詳細を話す真幸。車は、彼女の自宅へ進路を変える。話し終えると、彼女は右手を使い、自分の鞄からあるものを安室へ渡した。

 安室は無言で受け取ると、片手で壊した。真幸が渡した物は、コナンが付けた発信機付き盗聴器。おそらく、博士の家で彼が聴いていただろう。

「はい、これで大丈夫だと思うよ。これ、どうする?」

『捨てといて。構造が気になるけど下手に弄って家がバレたら大変よ』

「そりゃ、そうだ・・・。」

 壊した盗聴器を真幸へ見せると、彼女は捨てるように指示した。上手く出来ているので分解して構造を知りたいところだが、止めておく。後でコナンに問い詰められそうだが、上手く誤魔化しておけばいい事だ。

 暫くすると真幸の住むマンションへ着いた。地下駐車場へ止め、専用エレベーターへ乗り込む。無論、お姫様抱っこ・・・。この際、恥は捨て、安室の腕に大人しく収まる。

「あのレクサスは・・・?」

『へ?あぁ・・・。私の専属執事とボディガードのよ』

 安室が止めた場所より2つ右に白と黒のレクサスが2台止まっていた。前回、行ったときは、疲れのあまり気に留めていなかったが。

「君は、一体何者なんだい?」

『え?・・・今更聴くの?・・・お嬢様だけど・・・ただいま。ユキ君、いる?』 

「お嬢様、お帰りなさいませ」

「お嬢、お帰り」

『ただいま。ユキ君、左脚無理した。ノア君、彼にお茶を』
 
 真幸の生活フロアへ着き、カードキーで玄関の鍵を解除する彼女に改めて安室は問う。しかし、鼻先で笑われ返される。

 呆気にとられる安室の腕から降りると、器用に左脚を引きずり玄関へ。居るであろう主治医兼執事を呼ぶ。

 真幸は出迎えてくれた2人に指示を出して、処置を受けるべく自室へ消えた。安室と黒の執事・ノアが玄関に残されたのであった・・・。
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