名探偵コナン
□第17話
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数日後、父親の戸籍を書き換えるべく市役所に向かった零。手続きを終え、戸籍のコピーを手に車に乗り込む。
深呼吸し、意を決してコピーに眼を通す。
[降谷透・・・殉死。妻:恵・・・病死。子:零・・・長男、真幸・・・長女(養子のため除籍)]
「な、なんだ・・・これ。父さんがしたのか?!・・・。嘘だろ・・・養子って・・・」
衝撃の事実に頭を抱えてる零。涙を流しながら、何度も嘘であって欲しいと願うも戸籍が事実を告げる。
しばらく、泣き続けた零は、涙を拭い何処かに電話をかける。3回コールの後、相手が出た。震える声・・・
「《零、どうした?》」
真人の声が電話越しに聴こえ、止まっていたはずの涙が溢れ出す。
「真人・・・。悪い・・・いまから・・・そっち、行ってもいいか・・・?・・・」
「《ん、構わないけど?・・・。お前から休みに珍しく電話寄越すなんてな。・・・何があったかは知らないが、なんなら泊まりに来い。話、聴くぜ?》」
「っ・・・?!ありがとう・・・真人」
「《フッ、お礼なんていらねぇーよ。親友だろ?景光には内緒にしておく》」
「?!・・・あぁ、頼む。じゃ、後で」
「《【公安組フロア】で待ってる・・・》」
通話を終えると、肩から力を抜いた。感の鋭い真人の事だから、電話越しでも泣いている事に気付いたはず。だが、彼は敢えて触れず接してくれた。泊まりに来いと言ってくれるとは、思わなかったが・・・。
真幸との1件後、彼の家に行くのは久しぶりだ。仕事での私語は、以前と同様に接してくれてはいたが、もう誘ってはくれないと思っていた。一度自宅へ荷物を取りに戻り、彼の家へ向かった・・・。
地下駐車場へ車を停め、【公安組フロア】へ。インターホンを押すと、出迎えてくれ、リビングへ向かう。途中、ダイニングを通る。脚が自然と止まり、一瞬あの出来事が頭を過る。
「・・・・・」
「零?」
脚を止めた零を振り返る真人。零は、何でもないと笑ったが、その表情は暗い。
「あの事か?もう済んだから良いよ。そんなに暗い顔すんなっ!!もう、終わったんだからよ」
「で、でも・・・・」
暗い顔をする彼に真人は、大丈夫と背中をドンっと叩く。
「でもじゃねぇ、お前が暗い顔してたら真幸が心配するだろ?やめろ」
「・・・分かった」
「宜しい!!」
「・・・プッ、何だよ!?それ!!」
「(やっと、笑ったな。電話越しに泣いてたから、何かあるとは思ったが・・・。一難去ってまた一難ってとこかねぇ?)」
真人のふざけた言葉に笑った零。そんな零を見て自身も笑いながら、電話越しの声で、何かあったと確信した真人。予感は的中したようだ。
「で、真幸ちゃん達は?下?静かだけど」
「いーや、昨日からスキー合宿」
「スキー合宿?何処で?長野?北海道?」
「北海道。向こうで終業式するんだと。で、23日に帰ってくる予定」
「ホォー・・・では、早速・・・」
静かな室内に真幸達の姿はなく、下のふに居るかと思ったが、スキー合宿との事。
零は、本人不在がチャンスだとばかりに鞄から白手袋を取り出して、いそいそと準備。手には、盗聴器らしき物が数個あり、尚且つ彼の顔は嬉々揚々としている。
「おいっ?!お前、何するつもりだ?」
さぁ、これで準備バッチリ!!下へ降りようと階段に脚をかけたところで、真人に首根っこを掴まれる。
「真幸ちゃん達の部屋を物色し、グフッ!!」
真人の問いに素直に答えた零。言い終わる前に殴られたが・・・。どうやら、久々に安室センサーが発動した模様。
「透?」
「は、はいっ!!な、何でしょう・・・か、薫?」
「お前、また処分されたいか?」
「いえっ!滅相もございません!!申し訳ありませんでしたー!!二度としないから、許して下さいっ!!」
真人の顔が薫になり、彼の背後にどす黒いものが渦を巻き、ゴゴゴ・・・っと音が聴こえて零は、縮こまる。
零は、透の顔で必死に土下座して謝る。滅多に怒らない真人の逆鱗に触れると火傷どころか地獄に落とされかねないと身を持って体験した零であった・・・。
「没収」
「あぁ〜、僕の汗と涙の結晶がぁ・・・」
盗聴器と極小サイズの隠しカメラの数、合わせて10個。真人に、その場で没収・破壊された・・・。