Dream

□365日
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「……きっと私は、啓介さんを、傷付けてしまいます。…私は、彼を、忘れられない、ですから。」

「そう、…か。」


絞り出す私の小さな声に反応する様に、啓介さんの腕に力がこもる。

暫しの静寂の後エキゾーストが峠に響き渡り、続いて聞こえるそれは紛れもなく彼のQsが路面を滑る音で…。


「啓介さん、傘、差しましょう?」

「…そう、だな。」


啓介さんが手を離し傘を拾い上げるとほぼ同時に車が駐車場に滑り込み、車のドライバーが慌ててこちらへ近寄ってくる。


「啓介さん、お疲れ様です!…って風時、なに啓介さんに傘を持たせてんだよ。」


彼は啓介さんに挨拶すれば傘を持たせていることが気に入らなかったのか顔をしかめる。


「いいんだ、俺が勝手にやってることだからな。」

「啓介さんが良いならいいんッスけど…。あ、そういえば聞いてくださいよ!優衣のヤツが雨の日に走るなんて馬鹿だって言うんですよっ?」


ギシリと胸が軋む。
嗚呼、こんなにも彼の口から女の人の名前を聞くことが辛いだなんて思ってもなかった。


「……馬鹿、だな。」

「ちょ、啓介さんそれってどういう意味ですか?!」


ぎこちない笑みを浮かべる私に向けて啓介さんが呟いた言葉を、自分が言われたと勘違いし慌てる彼はどこか幸せそうで。


「そのまんまの意味だ。…な?風時。」


2人だけが、本当の意味を知る会話。

啓介さんの問い掛けにコクリ頷けば、涙が溢れそうになるから傘から出て空を仰ぎ見る。


「…そうですね。本当に、馬鹿、ですっ…。」



雨と涙が混ざり合い頬を流れ落ちて行く。


この坂で、
この道で、
この峠で、

待ってる。
貴方が、来なくても。

貴方が、他の人の名前を幸せそうに口にしても。

私は、いつまでも貴方を待っているから。

だから、
いつか私を見てください。


〜END〜




「……はぁ。」

「どうしたんッスか、啓介さん?」

「なんでもねー…。」

Qsを待つ少女を守る様に、FDが必ず現れる様になるのは近い未来のお話。



後書きと言う名の後悔

あれ?
なんかケンタが悪者に…、って言うか寧ろ啓介夢っぽくなってしまった気がする…。

あははっ…、いつかリベンジしよっと!←

ここまで読んでくださり有り難うございました!

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