Dream
□熱
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指先が冷えていく。
寒くて寒くて。手を合わせたら、それは祈りの姿に似ていた。
私は、何を祈るの?
-熱-
まぁるいお月様。
注がれた温かいココア。
何時になっても流れない携帯の着信音。
「…今日も、連絡来ないのかな…?」
携帯を手に取り時間を見れば日付が変わる少し前を示す数字達。
「仕方ない、よね。私と違ってお仕事してるんだし、峠にも行かなきゃいけないんだもんね。」
知らず知らずの内に溢れる溜め息。
「……会いたい、なぁ。」
冷えた指先を暖める様にマグカップを握り締めた。
―♪♪♪〜
と、私の独り言を掻き消す様に着信音が流れる。それは待ちに待った彼からの電話が来た合図。
「もしもしっ?」
「…外、だ。」
「え?」
首を傾げながらも言われるまま窓から外を見れば、そこには道脇に停まる黒のエボVと大柄な人影。
よく見れば口から吐かれる息は、白い。
「…と言う訳なんだが、寄って行っていいか?」
「う、うん!鍵開けるから早くおいで?寒いでしょう?!」