Dream

□熱
1ページ/2ページ



指先が冷えていく。
寒くて寒くて。手を合わせたら、それは祈りの姿に似ていた。

私は、何を祈るの?



-熱-




まぁるいお月様。
注がれた温かいココア。
何時になっても流れない携帯の着信音。


「…今日も、連絡来ないのかな…?」


携帯を手に取り時間を見れば日付が変わる少し前を示す数字達。


「仕方ない、よね。私と違ってお仕事してるんだし、峠にも行かなきゃいけないんだもんね。」


知らず知らずの内に溢れる溜め息。


「……会いたい、なぁ。」

冷えた指先を暖める様にマグカップを握り締めた。



―♪♪♪〜



と、私の独り言を掻き消す様に着信音が流れる。それは待ちに待った彼からの電話が来た合図。


「もしもしっ?」

「…外、だ。」

「え?」


首を傾げながらも言われるまま窓から外を見れば、そこには道脇に停まる黒のエボVと大柄な人影。

よく見れば口から吐かれる息は、白い。


「…と言う訳なんだが、寄って行っていいか?」

「う、うん!鍵開けるから早くおいで?寒いでしょう?!」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ