Dream

□香水、
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甘い甘い、香り。
そこに隠された思い。

貴方は気が付ける?


-香水、-




窓から外を眺めれば、灰色の空から溢れ落ちる雨が街を濡らしていく。

「暇、だねー…。」

「そーだな。雨も降ってやがるし…。」

「…あー、ケンタとか暇してないかなぁ?」

「やめとけ、アイツが来たって煩いだけだぜ?」


携帯を開き着信履歴からお目当ての名前を探す。

けれど、ベットの上でダルそうに身体を寝転ばせている男―…高橋啓介の言葉にそれもそうかと溜め息吐きけば、パタリ携帯を閉じた。


「そーいえばさぁ、涼介さん香水変えた?」

「んあ?…アニキ香水なんてつけてたっけか?」

「ううん、この前涼介さんから香水の香りがしたから。ちょっと気になって。」


アタシの言葉に啓介は起き上がり首を傾げ言葉を選ぶ様に考え込めば、唸りながら口を開く。


「んー…、取り巻きの女供のがついちまったんじゃねーの?」

「そっか。」

「妬いてんの?」

「勿論、妬いてるに決まってるでしょ。じゃなきゃアタシが香水なんてつけてこないって。」


からかう様にニヤリと歪む啓介の口を見ながら香水がついている自分の手首を鼻先に近付けてやる。
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