夏目戦国帳

□第二章 見えないもの
1ページ/6ページ





「犬夜叉、本当にこっちで合ってるの?」

「うるせー!!気が散るだろうが!!」



深い森の中、かごめ達一行は犬夜叉の鼻を頼りに進んでいる。




妙な噂を聞いたのは先日の事だった。






「姿の見えない妖怪?」

旅の途中立ち寄った村でお祓いという名の宿探しを行っていた所、村人たちからこのような噂話を聞いた。


「えぇ、ここ2〜3日の事なんですがね、あそこに大きな山が見えるでしょう、あの山でおかしな事が起きるんですよ」

村人の言った方向へ目を向けるとそれほど遠くない距離に小さな山が見えた。


「なんでも、あの山の向こうの村へ言った者の話では、
帰り道あの山の中でいきなり突風が吹いたかと思えば、近くの木々の枝は折れるわ、持っていた荷は突然と消え去るわでなんとも奇妙な出来事が立て続けに起こったらしいんです。
辺りには何の姿も見えず、それからあの山の中には姿の見えない妖怪達が潜むともっぱらの噂です。
おっかなくて近づけもしねえや。」



姿の見えない妖怪。


妖怪にはけっこう詳しい退治屋の珊瑚でさえもこの事はちっとも解らず、奈落と関係があるのかどうかだけでも調べるために、その噂の山へと赴いたのだが…




「まさか、こんなに小さな森の中で迷子になるとは…」

七宝がそうため息をつくと周りもつられたように、小さく息を吐いた。
山へとやってきたは良いものの特に何があるわけでもなく、諦めて帰ろうとしたが帰り道が分からなくなってしまったため
現在は犬夜叉の鼻で人里を探し求めている所であった。



「あの噂はデマだったんでしょうかねぇ」
「ほんと、こういう時は犬夜叉がいて良かったって思うよ」
「こういう時ってなんだよ!!こういう時って!!!!」


完全にやる気を喪失してしまった弥勒と珊瑚。
犬夜叉はそんな雰囲気にイライラしながらも微かに匂う人里の匂いの方へと進んでいった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ