銀色の魂と忍者の卵たち
□鬼さんこちら
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「はぁっ…はぁっ…」
建物の影で新八は息をととのえ、辺りを見回す。
どうやら他の皆とははぐれてしまったようだ。
先ほど飛び出してきた文次郎を合図に新八達は一斉に逃げ出した。固まって逃げると危ないと桂がとっさに判断しコソっと告げた事により皆別々の方向に散らばった。
ただ眼鏡の端で桂の声が聞こえたか聞こえないか文次郎が銀時を追って行くのを見たような気がしたのだが…
「それにしても文次郎くん、他の僕らには目もくれないで銀さんを追っていったけど、まだ根に持ってるのかな…
まあ、銀さんなら平気か。
神楽ちゃんも桂さんも強いし、心配する事はないか…
って…
一番危ないの僕じゃねえかあああああああああ」
今更気づいた自分の危険に慌て、頭を抱える。
そうである。あの中はただでさえ強者揃い、あまり実力は見てないとはいえ、忍者ならば相手の力量くらい解るであろう。
するとまず1番狙いやすいのは新八なのだ。
「おいいいいいいいい!!どうすんだこれ!?他の皆の心配してる場合じゃなかったよ!!!
と、とりあえず逃げ・・・」
カカカッ
突然何かが後ろの壁に刺さる。
「ぎゃあああああ!こ、これって…手裏剣!?」
「見つけましたよ!新八さん!」
「おとなしく僕らに捕まってくださーい」
壁に深く刺さる手裏剣をみて額からぼろぼろと汗が落ちる新八に突然と声がかけられる。
その声の方に新八はおもいきり振り返った。
「藤内くんに喜八郎くん!?」
そこにいたのは手裏剣を構える3年生の浦風藤内と踏鋤を肩に担ぎやる気のなさそうに言う4年生の綾部喜八郎。
ーーいきなり2人相手かよ!!!!!!
まさか2人でくるとは思っていなかったため頭の中が真っ白になる。しかし、ハッと我に返り、腰にさしていた木刀を手に取ってかまえた。
「おー、早速始まりそうじゃな」
屋根の上から新八達を見ているのは学園長と山田先生、野村先生である。
楽しそうな学園長とは逆に山田先生と野村先生は新八に哀れみの目を向けた。
「笑い事じゃないですよ学園長」
「あのルールはちと万事屋面々には不利だったのでは…?気の毒に」
「ふむ、確かにただ逃げるだけでは面白くないのう」
学園長はあごに手をあて何かを考え始める。その横で先生2人は嫌な予感に顔を青ざめた。
そして何かを思いつき「そうじゃ!」と手をポンと叩くと思い切り手を上に掲げ叫んだ
「追加ルールを発表する!!!!!!」
学園長の顔はここ1番楽しそうであった。