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□鼓動。
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疼く身体。
熱くなる頬。
動悸が聞こえてきそうな位高鳴る胸。
でも、俺からアイツを求めるのは悔しい。

「んぅ…っ?」
視界に飛び込んできたのは翡翠色の瞳。

「何、考えてんの?」
ちゅ、と音をたてて俺のそれから離れたラビの形の良い唇が、色っぽく動く。

「テメっ…こんなとこでっ!」
真夜中とはいえ教団員が皆使う廊下だ。いつ誰に見られるか、わかったもんじゃない。

でも、その続きを俺が求めていることは確かで。

「なんか今日のユウは色っぽいっつーか…エロいんだもん」
「エロいのはお前だろうが!」

ニタ、という不敵な笑みにさえも煽られる。

「ユウ可愛い」
「るせぇっ」

そっぽを向くと腕を掴まれた。

「ねぇ、シようか?」
甘く絡みつく声に動揺する。

「なっ…テメェ!」
ぐるっと振り向くと目の前にラビの顔。

「…!」

つい息を呑んだ。
体の熱が増す。

「じゃあ、一緒に居るだけでもいいから」

諭すように微笑むラビ。

「わ、わかったから放せ…」
「ホントに!?」
「騒ぐな馬鹿」
へへっ、と笑って俺に抱き着く。

「放せっつーの」
「でも、我慢できなくなるかも」
いきなり真面目に囁かれ、心臓が跳ねる。

「…〜ッ」

俺はどれだけコイツに振り回されるのだろうか。
それなのに、どうしてこんなにも苦しいのだろうか。

「ユウ大好き」
「ん…」

首元に顔を埋めると慣れたラビの匂いが鼻孔をくすぐる。
もう、他に何も考えられなくて。

「俺、もう限界だから早く行こ?」
「居るだけって言ったろ」

「世の中そう上手くは行かないものなんさ…」
わざとらしく溜息をつくラビ。

「ばぁか、」

でも、どうしようもなく─…


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