短編

□DIOが目元に口付けて「うばっちゃった」と言う虚偽の話
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ジョジョの生首を両手で持ち、顔を緩める。ああついにコイツを手に入れられたのかと思うと、思わず笑い声が漏れてしまう。

僕たちは二人で一つだった? まったくもってその通りだ。俺たちは本当に一つになったのだ。
まだ違和感を感じる首を動かしてみる。ぐち、と音が出て、少しだけ血が流れた。
俺たちは一つになった。でも、完全ではない。
この体は俺に馴染んでいない。思った通りの動きは出来ないし、先程のように首を動かせば血が出る。
――これが最後の抵抗だと言うのか、ジョジョ。

ジョジョを見つめる。
あの強く俺を睨みつけていた目は今はもう閉じられている。
口元に引き寄せ、その目元に口付けた。
優越感と、喪失感。
顔からジョジョを遠ざけ、呟く。

「うばっちゃった」

俺の頬を濡らしたのはジョナサンの涙か、俺の涙か。
ああもしかしたらこの棺桶の隙間から海水が入り込んで来たのかもしれない。
嘘か真か。
正直な話、俺にもよく分かっていない。

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