OP小説

□心配性
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「ルフィ」

徐々に近づくオレの気配に気づいたルフィが顔を上げる。

(あ…ゾロが来る。また怒られる…もっと…嫌われる!)

そして次の瞬間には砂浜をルフィが走り出していた。

「オイ!ルフィ」

ルフィが…逃げた。オレはその背を追う。
何となくここで捕まえて置かないとルフィが遠退いて行きそうだから。

ルフィは砂浜という慣れない地面だからか失速した。
そのお陰で腕を掴むことが出来た。

「逃げんなよ」

それでもルフィは去ろうとした。ゴムだから腕が伸びる。
でもそれを許さないオレは腹から抱え込んで背中から抱きしめた。

『放せ
「ルフィ」
『いやだ!知らねー!ゾロなんて
「ルフィ」

抱きしめた腕に水が落ちた。
ルフィは濡れてねーのに。
それを一瞬で涙だと理解出来たオレは自分自身を褒めたたえたくなる。

「悪かった」
『…ヤダ』
「許してくれねーか?」
『ゆる…さねー』
「ルフィ」

甘く嘆いてもルフィは傷ついていて泣くばかり。

「ごめん」
『…オレが嫌いなら…助けるなよ』
「え?」

ドンッと突き飛ばされたオレから逃れ、ルフィは海へと走り出す。

「ルフィ!待っ…」

バシャバシャという音と共に奥へ奥へと突き進むルフィからは力が抜けて行く。

「ルフィ!」

その力が全て抜ける前にルフィは立ち止まってオレを見つめた。

『…オレが嫌いなら助けに来なきゃいーだろオレはゾロが好きで一緒に泳ぎたかっただけなのに何で来るんだよ…』

「ルフィを嫌ってねーからだ」
『…』
「ルフィの気持ちも知らないで頭ごなしに怒って悪かった。でも好きだから心配になるんだ…オマエが沈んで行くのは見たくなかった」

『ゾロ…』
「ルフィを嫌うはずねーだろ」
『…』
「な?ルフィ」

またボロボロと涙を流すルフィにオレは近づく。

「好きだから助けに来た」
『ゾロのバカァ』
「あぁ。バカだな」


このあと結局オレとルフィは浮輪で海水浴を楽しむことになった。


おわり
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