SD小説
□問題児コンビ
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ある日の昼休み。
平和な昼食の時間を迎えていると突然校内放送が響いた。
ピンポンパンポーン…
聞き慣れたそれは教師が生徒を呼び出すときによく使用される。
「えー・・1年7組桜木・1年10組流川。今すぐ職員室まで来なさい」
少し怒った口調の教師はバスケ部切っての問題児コンビを呼び出したのだった。
『なぬオレか』
「ぶっ花道〜何したんだァ?」
親友が呼び出され軍団内が笑いの渦に包まれる。
『知らん!オレみたいな天才が問題を起こすはずが・・』
「流川と呼び出されちゃって」
「恋人同士仲良くお呼びだしを食らうとはバカップルだな」
『ぬ黙れ』
桜木は勢いよく立ち上がると屋上のドアをバタンッと閉め、呼び出しを受けた職員室へ向かった。
このままバックレて部活禁止と言われたときには怒り狂うだろうからなと考えているとバッタリもう一人の問題児と出会う。
『ルカワ・・テメー何教科書持ってんだよ?』
「化学が長引いた」
『へー』
あまり興味の無い話を聞きながら職員室の前まで来ると呼び出した教師が怒り気味に立っている。
「遅いぞ!桜木!流川!」
『何だと…』
「やめろ・・どあほー」
明らかに喧嘩腰の桜木にストップを掛けた流川は冷静で桜木も仕方なく大人しく怒られることにした。
ガミガミガミガミ・・
怒られた後手渡された課題。
『何だコレ』
「…」
「レポートだ。今日の放課後仕上げて提出そしたら追試は無しだ」
レポートには《古代文明について》と書かれている。
どうやら二人が世界史で赤を取った結果らしい。
それをレポートで見逃してくれるのは少なからず先生からの配慮だろう。
『放課後ってことはバスケが出来ねェ』
「めんどくせ」
プリントを眺めながらトボトボと歩く二人。
出されたレポートは五枚。
ため息を吐き二人は言葉を交わすことなく自分の教室へと戻った。
いつの間にか終了していた6時間目。
ホームルームも終えクラスメイトが帰る中、桜木は残り一枚もない課題を眺め頭を抱えた。
授業も聞かずせっせと書き連ねた古代文明について。
仲のよい友人達に「頑張れよ」と言われ、それを見ながら目が合ったのは一緒に呼び出しを食らった流川だった。
「どあほう」
『ルカワか』
「まだやってんのか?」
『あとラスト半分だオマエは?』
「終わった」
つらつらと適当な字で書かれたレポートを見せられ、やる気が半減したが仕方なくシャーペンを握る。
『めんどくせェ』
窓から見えるサッカー部を少し眺め、ぼやきながら右手を動かす。
そんな桜木の前の席に流川は座り、彼をボーッと見つめた。