SD

□写真部の暗室で
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ガランと静まった校内に足音がふたつ。
ひとつは割とキビキビ歩き、もうひとつの方はダラダラと歩いてる。

「おい仙道!早く帰るぞ」

廊下に響いた越野の声は仙道の耳にも届いたが、仙道はといえばまるでめんどくさそうに笑ってごまかす。

「オイ…置いてくぞ仙道」

「そんなに急がなくてもいいじゃない越野」

「俺は早く帰りてーんだよ。明日からテストだし」

明日から始まるテスト期間。だから早く帰りたいのに仙道はやはりダラダラ。

「今更勉強したって仕方ないじゃん」

「仕方なくない!ただでさえバスケで勉強時間が潰れてんだから早く帰「こーしーのー」

「(人の話しを聞けよ)」

「越野見て!写真部だって」

仙道が指差したのは写真部と書かれた部室。
展示板には沢山の風景写真が貼ってあった。

「写真部が何だよ?」

「あれ?あるの知ってたの?」

「知ってるよ。つーか仙道は知らなかったのかよ」

「だって…地味じゃん」

とは言いつつ写真部の部室に勝手に入り込んだ仙道。それを呆れながら越野も追った。

「仙道〜先帰るぞ」

「待ってよ。ちゃんと帰るから…それにしても本格的だね。暗室があるよ」

「勝手に入んなって」

ズラリと並ぶ沢山の写真を眺め、越野は妙な写真を見つけた。

「あ…仙道だ」

「何?」

「ほらこれ…仙道の写真だろ」

「本当だ。何だろう?」

「(何だろうって…)」

「俺のファンかな?」

暗室のせいで少し離れてる仙道の顔は見えないが、きっとニヤニヤしてるに違いないと思った越野は苦笑しながら扉の方に向かおうとしたが、どうしてか何かに引っ掛かり動けなくなった。

「何だ?」

「越野」

原因は仙道。仙道が引っ張ってるせいで越野は一歩も進めない。

「なんだよ?」

「そんな嫉妬しないで」

「嫉妬?」

「そう!俺って意外に好かれるじゃない」

自意識過剰だと言ってやりたいが確かにその通りだと納得した越野は嫉妬について否定する。

「嫉妬なんかするかよ」

「するでしょ〜」

「なんでだよ?」

「越野は俺が好きだから」

自信たっぷりに言い切られて、何て返すか考えるのがめんどうだからと固まった越野に闇から愛が降ってきた。

「んんう!」

すぐさま理解した。触れ合った場所が唇同士だと。

「んあほっ!」

「怒っても可愛いね〜越野」

「シネ!」

「写真部の暗室にいたらムラムラきちゃった。とにかく帰って越野とヤル」

「テスト勉強すんだよ」

「そんなもん俺が教えてあげるから。もし越野に上手く教えられたらご褒美に越野を頂戴」

「へ?(この…イケメン。いつ勉強してんだよ…つかここが暗室で良かった。真っ赤な顔見られねーし)」

「越野?」

「わかった!その話乗る。その変わり上手く教えられなかったら一週間ヤラない」

「うわ〜酷だね。越野にも辛い現実だよ?」

「俺は別に大丈夫だ!そうと決まれば早く帰るぞ」

「その前に…」

もう一度キスをしたふたり。
他の部が使う部室でキスなんてスリルが満点で、結局互いに求め合った。


この日の夜、越野が仙道に食べられてしまうのは言うまでもない。

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