キセキ(プラス)

□02 色々出会い
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SIDE 緑間


昼休みを告げるチャイムが鳴ると、小日向は机に突っ伏した。
もとより、まじめな性格なのだろう。
授業はまじめに聞き、本来ならば休息の時間になるはずの休み時間には慣れないクラスメイト達との質問攻めにあい、再び授業。
転入生の宿命と言えばその通りで、そんなやり取りも数日すればなくなるのだろう。
そんな事を思いながら隣の小日向の頭を眺めていると、小日向がこちらを向いた。

『緑間くん。申し訳ないんだけど、この学校の静かな場所ってどこ?』
「静かな場所・・・この時間帯なら図書室、各特別室、裏庭あたりなのだよ。だが、その場所で昼食を取ろうと考えているならば、裏庭がおススメなのだよ」
『そっか、ありがとう!』
「ちなみに、昼休みは50分だ。遅れる事のないようにな」


小日向は、ふんわりと笑うと立ちあがった。
女の子らしい笑い方なのだよ。
一緒に食べようと声をかけてくるクラスメイトに、あいまいに返事をして教室を出て行った。
俺もそろそろ、昼食を取ろうとするか。




緑間 SIDE 終わり




緑間に勧められた裏庭に行ってみると、確かに人影は無くひっそりとしていた。
今まで、少人数でしか過ごしてこなかった小日向にとっては先ほどまでの喧騒が落ち着かなく、やっと一息つく事が出来た。
適当な所に座り、建物に背中を預けるとお弁当を広げ、いただきますのポーズを取る。
いざ食べようとした瞬間、真上の窓が開く音がしたと思ったら、人が降ってきた。


『ヒャッ?!』
「!?!」


確かにそこは一階の窓だが、校舎の窓から出るなんてよっぽどの事だろう。
そして、あまりの予期せぬ出来事に驚いて、膝に置いていたお弁当を落としてしまった。


(あっ、黄色)
「わわわ!こんな所でまで待ち伏せっスか?!」
『はぁ?!』
「でも、俺昼飯はみんなで食べるって決めたんっス!じゃあ!」
『ちょっ・・・とぉ。もう行っちゃった。私のお弁当弁償してよね。なんなのあの人』


仕方なく、こぼれたお弁当の中身を拾うが、落としただけではなく、さっきの黄色い人が踏んで行ったのでとてもじゃないが食べれるものではない。
拾った中身をビニール袋に入れ、ごみ箱を探すためさ迷う事にした。
当てもなく、校舎をウロウロしているとまたしても誰かにぶつかってしまった。



『いてって〜・・・(おっかしいなぁ。前は見てたつもりだったのに)』
「あっ、すみませ・・・って、小日向さんでしたか」
『あっ。黒子くん。さっきぶりだね』
「立てますか?」
『う、うん。ごめんね、2回もぶつかっちゃって』
「いえ。気にしないでください。慣れてますので」


黒子が、小日向の手を掴み立ちあがる手伝いをする。
今度は大きな声を出して邪魔されることもなかったので、すんなり立つことができた。

「それに、2回も得したしな」
『?!』

その言葉に慌ててスカートを押さえる。
すると、どこから見ていたのか青峰がニヤニヤしながら目の前に立っていた。

「青峰くん。僕が得したように言わないでください。得をしたのは君じゃないですか」
「へぇ。残念だったな。水色じゃ、テツは嬉しくねーってよ」
「そういう事じゃありません」
「なんだよ、じゃあ何色がいいんだよ」
『もう黙ってください!!///』


羞恥で顔を真っ赤にした小日向は、涙を浮かべていた。
その場にいてもたってもいられなかったのか、二人を睨むとそのままダッシュでどこかに行ってしまった。


「・・・これが三文の得ってやつか///」
「同意しかねますが・・・///」


残された二人はほんのりと顔を赤く染めながら立っていた。

 
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