キセキ(プラス)

□02.5 屋上にて
1ページ/1ページ

in 屋上

ガチャ



「遅れたな」


赤司は屋上の扉を開けると、すでにいつものメンバーが各々昼食を取っていた。


「あー!やっと来たっすね!」
「赤ちん、お疲れー」
「もう食べ終わっちゃうところです」
「テツ、もっと食わねえと倒れんぞ!」
「青峰は食べすぎなのだよ」


相変わらずの騒々しいメンバーにあきれた表情をしながらも、その輪に加わる。


「データの入力は終わったのですか?」
「あぁ。教室に置いてきた」
「へぇ。早かったな」
「そうっすねー。赤司っちとパソコンって似合わないから今日は一緒に食べるの無理だと思ったっす!」
「そう思うなら、誰か手伝いに来てくれ」
「このメンツでそれは無理なのだよ」


きっぱりという緑間の後ろでは、へらへらしていたり、ぼんやりしていたりする面々。
このメンバーではそんなハイテク機器を扱えるなんて思ってもいないし、手伝いも期待していない。
結局貴重な昼休みの時間を削って自分がやるしかないのではないかと、溜息をつく。


「溜息をつくと幸せが逃げるのだよ」
「誰のせいだと・・・」
「赤司くんはパソコンが得意なんですね。あんな量のデータ整理が早く終わるなんて」
「・・・手伝ってもらったんだ」


その事を思い出したのだろう、優しい笑みを浮かべる赤司を見て顔を青くする面々。


(((((赤司(っち)(ちん)(くん)?!?!?!)))))


「へぇ・・赤ちんを手伝うなんてタダものじゃないね、その子」
「あ!そういえば、俺も今日タダものじゃない感じの女の子見たッス!」
「へぇ、そうですか」
「ちょっと、黒子っち!もっと食いついて!!」
「うっせぇなー。どんな女だよ?体型は?」
「んー。体型・容姿はどっちも普通かな。でも、俺が窓から逃げるのを見越して、窓の外に待機してたんっすよー!めちゃくちゃびびったっす!でも、すぐ逃げたんっすけどね」
「・・・それは」


赤司は先ほど聞いた話と繋がり、小日向が弁当をダメにした原因がここにいることに頭が痛くなり抱えた。


「あ?赤司も今日は弁当少ないな」
「あぁ・・・手伝てくれた子がお腹を空かしていたから渡したんだ」
「俺もね〜、今日お腹を空かした子におかし上げたんだ〜」


(((((あの紫原(っち)(くん)が?!!?)))))


「珍しいですね。キミが誰かに大事なおかしをあげるなんて」
「だってさー。泣きながら髪振り乱して走ってて、盛大にお腹鳴らすんだもーん」
(あれ?それって・・・)


黒子は何か思い当たる節があったが、とくに何も言わなかった。


「俺良いことしたから、何かいいこと起きないかなー」
「それにはラッキーアイテムを身につける事をお勧めするよ」
「はん!んなのなくっても、ラッキーは起こるんだよ!なっ、テツ?」
「いえ、ですからそれは青峰くんのラッキーであって僕は特に」
「んな事言って、最後のは完全にテツ好みだろ」
「それはその・・//」
「黒子が照れるなんて珍しいな。何があったんだ?」
「えー?何々?!気になるッス!」
「早起きは三文の得だって事だ!」


自信満々に言う青峰に、気まずそうに顔を逸らす黒子。


「何か知らないけど、すごいっす!!」
「どーいう事ー??」
「意味が分からん」
「だから、字が違うと何度言えばいいんですか」
「バカなのだよ」



相変わらずのバカさ加減に、呆れる面々。


「そういえば、噂の分校の転入生ってさーどのクラスになったんッスかね?」
「あぁ、それなら俺のクラスなのだよ」
「!・・・へぇ(ニヤッ」
「そうなんですか」
「ふむ」
「ふーん(あっ、あの子制服違かったから、もしかしておかしの子がその子かな?)」
「彼女はバスケットをしたことがないと言っていたのだよ」
「えぇ?何々?緑間っちてば、もう彼女と話したの?!」
「話すもなにも、席が隣なのだよ」


その時、丁度午後の授業が始まるチャイムが鳴り各々授業の準備をするため解散した。






彼らの出会った「彼女」が同一人物だと分かるまであと少し・・・・。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ