キセキ(プラス)

□05 委員会
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今日一日の授業を終える鐘が鳴った。
教室では脱力し机につっぷす者、放課後を楽しみに歓喜の声を上げる者、部活動に行くための準備をする者と様々だ。



「みかん、今日はどうするのー??」
『あっ、友ちゃん』


小日向は、文化祭の劇で同じく侍女をするクラスメイト森山友に話しかけられ、机につっぷしていた顔を上げた。
森山は初めてできた友だちであり、昼食も一緒にとった。


「昨日は生徒会室に寄って帰ったんでしょ?」
『うん!あっ、緑間くん、部活に行くの?』
「そうなのだよ。小日向も部活に入ってみたらどうなのだよ?」
『部活・・・?』
「それいいかも!私柔道部なんだけど、一緒にどうかな?!」
『友ちゃん柔道部なの?!一本背負いとかカッコいいね!』
「・・・小日向が誰かを投げ飛ばす姿が想像できないのだよ」
「あ〜・・・確かに?誘っておいてなんだけど、みかんには向かないかもねー」
『二人して酷い・・・でも、そうだなー。運動部はちょっと』


「おーい、小日向!」


三人で雑談していると、教室のドアの前に立ちながら担任が小日向を呼んでいた。


「ちょっと来てくれ」
『はーい!・・・なんだろ?』
「転校生も大変ねー」
「さっさと行ったほうがいいのだよ。俺達もそろそろ行かなくてはいけないのだよ」
『あっそか。二人とも部活がんばってね!』
「ありがと!みかんも、部活見学とかしてみたら?」



早々に二人に分かれを告げて、担任の元に行く。
担任は、先ほど集めたクラス分のノートの半分を渡すと詳しい話しは職員室でするといい、世間話をしながら歩き始めた。


要は、自然に手伝わされたのだ。


『・・・委員会ですか?』
「あぁ。小日向は、今まで一人で色々こなしてきたらしいが…学校生活を送る上で委員会は他のクラスの生徒と交流できる機会だしな。いい機会だし、委員会に入ってみないか?」
『は、はぁ・・・』
「そうだろうそうだろう!他のクラスとも関わりたいよな!」
『(い、いや。自分のクラスの人たちともあんまり関われてないんだけど・・・まぁいっか。そういう事にしておこう)』
「うーん、しかし委員会によっては人数が多すぎて困っている所もあるぐらいなんだよなー。そこでだ!先生がおススメの委員をピックアップしておいたぞ!」



そう言って、担任は一枚の紙を小日向に差し出した。
その紙には飼育委員・環境委員・図書委員・保健委員が書き出されていた。


「とくにおススメは図書委員なんだが、どうだ?」
『えっと・・・じゃあそれで』


小日向は半ば担任の勢いに押されるようにして、返事をしてしまった。
担任は小日向が図書委員に入る署名をした事で、ご機嫌だ。


「いやー、これで我が図書委員も安泰だ!」
『・・・先生が担当なんですか?』
「あれ?言ってなかったか?それが、俺のクラスの図書委員が先月転校しちゃってなー、誰もやりたがらなくて困ってたんだよ。いやー、小日向が快く引き受けてくれて大助かりだ!」


小日向は苦笑いで応える。
周囲の職員の反応からすると、この先生はよい先生なのだろう。
事実、ホームルーム後は同じクラスの生徒が先生の周囲に集まって雑談している姿を良く見ているので生徒からも人気があることが分かる。



「じゃあ小日向!とりあえず、これから図書室に行ってくれー!今日の担当がすでに行っているはずだからな」
『分かりましたー』



職員室を後にしようとすると、職員室の奥の方に赤司の姿が見えた。
赤司も小日向の視線に気が付き微笑を向ける。
職員室内で大声を出すわけにもいかず、とくに駆けつける理由もなかった為小日向は軽く会釈して職員室を出た。
担任からこれから図書室に行くように言われていたため、赤司を待たずその場を後にした。



 
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