IF〜

□第一章
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な、い……。

ない…ないっ、ない〜〜っ!!

な、んでぇ…?

確かに、数学のノートに挟んだはずなのに!
なのにノートのページを一枚一枚めくって確かめてもどこにもない。
まさか、持って帰るのを忘れたんじゃなくて…もしかして、なくした……?
一番あってほしくない考えに突き当たって、私は慌てて首を横に振る。
いや待て落ち着け自分。
昼休みが始まる前、教室に戻ってきた高村先生から貰ったプリントは確かにこの中にしまったのよ。
それからパンを買いに行ったんだもん、間違いない。
なのに、何でないのっ!?



宿題忘れた挽回用に、と高村先生からもらった課題。
家に帰って鞄を開けたら見事に入ってなくて、一気に青ざめた。
このプリントまで、しかも家に忘れたどころか学校に置いたまま、なんてバレたら…。
それで私は必死に考えて、対応策を思いついた。
学校に忘れたんなら、取りに行けばいい。
ま、まぁそれを実行した時間がすでに深夜ってところが問題なんだけど…。
朝早く来て…ってのも考えたんけれど、今朝遅刻しそうになった前科のある私にはちょっと自信がなくて。
このときばかりは旅行中の両親に深く感謝しつつ家を飛び出し、駅を利用して、ここまで来た。

 
それはいいとして。
いや、ほんとはよくないんだけどこの際置いといて。

さすがにというか案の定というか、学校はすでに玄関どころか校門までも固く閉ざされていた。
でも、二日続けて担任に怒られたくない、皆の前で恥かきたくないっ。
それなら、と朝悟空から教えてもらった、フェンスを外してできる私的緊急用裏口から敷地内に侵入、二年用の建物に近付き、一階の廊下にいくつかある窓のうちのひとつへと歩み寄った。
記憶を頼りにそおっと動かしてみると…開いた!
確かここだと思ったのよね、鍵壊れてる窓。
この廊下の掃除当番だったときに、開いたものの閉まんなくて苦労したからよく覚えてる。
まさかこんなふうに役に立つとは。
物事っていつどこでどう繋がるのか、わからないわ〜。
無用心だってことにはこの際目をつぶっちゃおう、うん。
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