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□【完】淡い夜、雪
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12月24日 23:30
―クリスマス・イヴ、サンタクロースが子供たちにプレゼントを配り終わる頃。
彼女は一人、近所の公園に腰かけていた。
明るいうちは子供で溢れているだろうが、今は外灯の灯る音までが聞こえてきそうなほど静まり返っている。
響くのは自分の呼吸音だけ。
口から洩れる息が夜の闇に白く浮かび上がる。
何をしているのだろう、と自分でも思う。
よりによってクリスマスに一人淋しくいるのはなぜなのか。
―きっと彼のせいだ。
彼女は思い浮かんだ、一人の顔を恨みがましくにらんだ。