school life

□第4話
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あっという間に夕方になった。二人で歩いているってだけでかなり緊張したけど、なんだかんだ言って楽しかったと思う。お別れが少し淋しいくらい。GW終わったらまた学校で会えるんだけどね。

「ちょっと休憩しない?」
「そうですね。」

人混みのなかで疲れてきていたから調度いい。気が利くのか先輩が疲れただけなのかわからないけれど。
すぐ近くの公園に来た。暗くなりかけていて、遊んでいる子供はいない。
二人きり。今は本当に二人しかいない。やっぱり緊張する。

「月、綺麗だよ。」

先輩が呟いた。日本人らしい台詞に驚いたけど、確かに空を見ると夕日の反対側に綺麗な月が見えていた。

「綺麗ですね。」

ふと先輩を見ると、夕日に照らされて顔立ちの良さが引き立てられていた。こんなにかっこいいなんて、反則だよ。ってことで、今日言うべきことをやっと言うことにした。

「先輩。」
「何?」
「お誕生日、おめでとうございます。」

先輩は一瞬キョトンとしてからニコッと笑った。可愛く見えるのは絶対気のせい。

「ありがとう。覚えてたとは思わなかったよ。」
「祝って欲しくて今日私を誘ったんですよね。」
「ばれてたか。まあいいや。キスしていい?」

突拍子もないことを言われてあわてふためく。

「何でそうなるんですか!?い、嫌ですよ!恋人でもないのに!」

先輩が好きなのは全人類。私だけじゃない。だけど先輩は少しだけ残念そうな顔をしている。

「酷いな。キスはもうしただろ」
「先輩が無理にしたんでしょう!」
「好きだよ、佳奈」
「なっ…!名前…!」

私が目を丸くしてあわあわしてるうちに、さっと頬にキスをされてしまった。なんでこの先輩キスに慣れてるんだろう。

「何するんですか!?」
「だって、唇なんかにしたら殴られそうなんだもん」
「今殴ります?」
「遠慮しとく。」

当然、二度目はありえない。流石に殴りはしないけど、確実に避ける。

「じゃ、帰ろうか。」
「はい。」

自然と手を繋いでいた。なんだか恋人みたい。無意識に高くなる私の体温が臨也先輩に伝わってたら……嫌だな。
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