school life

□第20話
2ページ/2ページ

翌日早朝
臨也先輩が図々しくも話しかけてきて、いつも通り一緒に登校することになった。大怪我してるかと思ったけど先輩は何故か絆創膏一つ貼っていない。静雄先輩が昨日殴りに行ったはずなのに、おかしいな。逃げきったのかな。さすが、逃げ足が速いだけある。

「佳奈ちゃん、おはよー」
「おはようございます」
「昨日、大丈夫だった?」
「はい。静雄先輩と一緒に帰りました」
「お姫様抱っこしてもらって?」

なんで知ってるの?臨也先輩のことだから今更驚きはしないけど。臨也先輩はプンプンと怒った様子で私を見た。

「はい。静雄先輩はとても優しいので、私をわざわざ家まで送って下さいました。」
「ふーん。良かったね」
「臨也先輩は昨日、静雄先輩をハメた後何をしていらっしゃったんですか?」
「秘密」
「そうですか。ご学友に大怪我をさせようとした直後、臨也先輩はそれを気にも留めずに遊んでいたわけですね?」
「遊んでた訳じゃないんだけどなー。って、もしかして佳奈ちゃん怒ってる?」

臨也先輩は笑いまじりに話している。私は真剣に怒っているのに。

「はい」
「そっか。昨日、先にどっか行っちゃってごめんね」
「それだけですか?」
「え?」

臨也先輩は本当に何も分かってない。私は、臨也先輩が静雄先輩と喧嘩しに行った時、結構寂しかったのに。いつもそうだ、私と一緒にいるときでも静雄先輩優先で。一体静雄先輩と私のどっちが大切なの?私が我が儘なだけなの?

「それ以外言うことないなら私は先に行きます」
「…え?あ、待ってよ」

私は速歩きで臨也先輩より前に出た。

「待ちませんよ」
「なんで怒ってんの?」
「そりゃ、怒りますよ。大事な幼なじみに大怪我させようとした人が何もなかったかのように話しかけてくるんですから」
「それに関しては謝れないなぁ」
「もういいですよ、臨也先輩なんて大嫌いです!話しかけないで下さい!」

走って早く学校に行きたかったけど、捻挫をしているのを思い出して止めておいた。

「……えー。俺、嫌われた?」

臨也先輩は立ち止まって、私を追いかけてこなかった。ちゃんと追いかけて謝ってくれれば許したかもしれないけど、臨也先輩は私が怒ってもなんにも困らないみたいだ。

「もう、知りませんよ……!」

臨也先輩と静雄先輩がお互いをすごく嫌っているのなんてよく分かっていますよ…!
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ