長編夢

□プロローグ
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4月下旬、浅木姫香は行方不明となった。
一瞬見かけたと言う者は数名いるが、真偽のほどは定かでない。

――俺は、やっぱりアイツを守れねぇ。
仕事帰りの男性が物憂げに呟いた。

――どーこ行ったのかな?さっさと別れておけばこんなことにならなかったのにねぇ。俺でも見つけられないって、どういうこと?
デスクチェアに座ったままグルグル回っている男性が高らかに笑いながら言い、秘書の女性に『うるさいわ。私は本当に心配しているのよ。』と睨まれた。

――無事だといいけど…掲示板にも書き込みないし…。
男子高校生が夜中になってもサイトをチェックしながらため息をついた。

――罪歌が少し影響していたのかな…。親友になって下さいって言ったの、私なのに。
女子高校生が葉桜を眺めながら眼鏡の奥の瞳を曇らせた。

――また変な奴らに巻き込まれてるんじゃないだろうな。怪我はないんだろうな!?
――セルティがそわそわしてると私まで落ち着かないよ!早く帰ってきて!
高級マンション在住の変わったカップルが各々の理由で騒がしくしていた。

それぞれが姫香の身を案じていたが、本人はこの世界にいなかった。

五月になるまでは。

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