school life
□第1話
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「いぃざぁやぁぁぁっ!」
「あははっ!シズちゃんってホント単細胞だよね」
来神高校には問題児が二人いる。前から聞いていたとおりの二人だ。噂ハンパない。
一人は幼馴染で、もう一人は中学校の先輩。
「あ、あの二人また喧嘩してるよ。佳奈ちゃん、もっと離れてたほうがいいよ?」
この人は小・中・高全部かぶった変態。じゃなくて先輩。
「新羅先輩、私が入学する前、大変だったでしょう。」
「多分佳奈ちゃんが入学してからもっと酷くなってるよ。」
「え!?」
岸谷新羅先輩。頼もしい(?)ストッパーだ。私は足手まといになってるのかな。気をつけなきゃ。
入学してからまだ一週間も経ってない。早く慣れなきゃね。
「佳奈ちゃん!ちょっと待っててよ!一緒に帰りたいから!」
「え。」
「手前、佳奈にちょっかいだすな!」
「あ〜もう、五月蝿いなぁ」
折原臨也先輩は、なぜだかいつも私と一緒に下校している。家が同じ方向にあるからかな。中学校のときもそうだった。
だから私は他の人よりは臨也先輩をよく知ってるんじゃないかな。あの綺麗な顔にも免疫ができたし。あの先輩に一目惚れなんかしたら最後、散々遊ばれて捨てられるんだろうな・・・。考えるだけで恐ろしい。
平和島静雄先輩とは小学生のとき仲が良くて、喧嘩もたまにしてたから自己流の防衛術なんかも身についちゃった。あの先輩、キレると凄いんだよね。昔はなんとかなったけど、今はもう手に負えない。
「死ねばいいのに」
そう言って小型のナイフをどこからか取り出す臨也先輩。ナイフは駄目だ。私の中でちょっとしたトラウマになっている。
「やめてくださいっ!」
私はほぼ反射的に喧騒のド真ん中に飛び込んで、先輩がナイフを振り下ろす右腕をぐいと引っ張って押し倒し、そのまま馬乗りになった。捕獲成功。
「没収です。」
先輩の手首を押さえつけてナイフ無理矢理取り上げた。何本目なんだろう。
「やっぱり君は面白いね!」
「いつまで中二病引き摺ってるんですか?」
臨也先輩の本性はドMで人間観察好きのイタイ中二病患者だと思う。
「酷いなぁ。ていうか、俺、誘われてんの?」
「へ?」
新羅先輩がのんきに叫んだ。
「佳奈ちゃ〜ん、その体勢、はたから見れば佳奈ちゃんが折原君を襲ってるようなものだよ〜。」
「ああ。」
納得。変な勘違いをされて入学早々に友達が出来なくなるのは困る。私はナイフをポケットに突っ込んでからおとなしく臨也先輩を解放した。まあ、他の人たちは二人の喧嘩を見てさっさと帰っちゃったから今周りに誰もいないんだけどね。
「失礼しました。」
「ナイフ返して」
「嫌です。」
「それじゃあ俺シズちゃんに殺されちゃうよ。」
「さすがに殺しはしないと思いますけど。」
そして、事件は起こった。