school life
□第4話
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世間がGWで馬鹿騒ぎする5月の頭。私には遠出をする予定はなく、友達と遊んで過ごそうと思っていた。今日だけは目の前に臨也先輩がいて、二人で歩いているんだけど。
数日前
「ねえ佳奈ちゃん。5月4日って暇?暇だよね。映画見に行こうよ。」
それは、いつも通りの帰り道だった。飲んでいた缶ジュースを吹きだしそうになりながら臨也先輩の顔を見た。いつも通り、へらへら笑っている。
「先輩、映画好きなんですか?」
「それに驚いたの!?まあ、一通りは見るよ。佳奈ちゃんは?見ないの?」「寝ます。」
「じゃあ問題ないね。決定!」「え。」
何が問題ないのか理解できない。映画に誘われて堂々と『寝る』と答える高一女子はほとんどいないはず。しかも、所謂イケ面の先輩。臨也先輩のことをよく知らない人なら目をハートマークにして喜ぶんだろうなぁ。静雄先輩と喧嘩してるのを見たことあるなら近寄りもしないだろうけど。
「この前の学ランのお礼。見たいのある?」
「だから、寝ますって。」
先輩は早速うきうきモードになっていて聞く耳をもたない。
「佳奈ちゃんの寝顔見てみたいな。」
ああ。納得。いつもの『人間観察』だ。なんでか知らないけど先輩は私がお気に入りらしいし、身近だから観察しやすいってわけだ。
5月4日って、確か先輩の誕生日だったよね。祝って欲しいのかな。子供みたいで可愛い。たまには遊びに付き合ってもいいか。
「何時に何処で待ち合わせですか?」
スキップまでしてハイテンションだった先輩が急に目を見開いて私を凝視した。
「あれ、意外と乗り気だった!?」
普段の私って、そんなに冷めてるのかな。
「無理に誘ったくせに、何言ってるんですか?」
先輩がにやりと笑った。この人は『にこっ』より『にやっ』の方が似合ってると思うのは私だけじゃないよね。