school life

□第8話
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浴衣って、夏祭りには欠かせないと思う。私が着て似合うかどうかはわからないけど、多分女の子はみんなお祭で浴衣を着ると思う。別に普段着でもいいけど、せっかくだから浴衣を着たい。夏限定だもん。

「というわけで浴衣を買いに行きたいんですが、選んでもらえませんか?」
『私が選ぶの!?』

新羅先輩宅。困ったときにいつも助けてくれるセルティさんなら、きっと私に似合いそうなのを選んでくれるはず。

『ごめん、私はこんなだから買い物についていくのはちょっと…』
「あ、首がないんでしたっけ!」
「佳奈ちゃん、セルティ今ヘルメット取ってるんだけど」

新羅先輩が呆れ顔で呟いた。

「じゃあ、新羅先輩が選んで下さいよ。その方が手っ取り早いですし」
「俺は別にいいけど、佳奈ちゃんはそれでいいの?」
「私が頼んでるんですけど。」
「臨也に選んでもらいなよ。」

…。数秒の沈黙。

「嫌ですよ!」
「なんで?」
「なんでも何も、嫌ですっ!」
『臨也のセンスが危ないんじゃないのか?私は知らないが。』
「そっか。さすがセルティ!」
「誰もそんなこと言ってないです」
『「え、違うの?」』

臨也先輩のセンスは変かもしれないけど多分浴衣くらい普通に選んでくれる…じゃなくて、

「たまには驚かせたい…んですよっ!」

うわぁ…とても恥ずかしい。多分私は今顔が真っ赤になってる。

『臨也を驚かせてどうするんだ?そもそも、アイツみたいなのが浴衣で驚くとは…』
「うぅっ」

確かに私が浴衣なんて着てもどうせ色気のカケラもない。

「セルティ、臨也は佳奈ちゃんにベタ惚れだよ。」
「そんなことっ!」

舌を噛んだ。ヒリヒリ痛くて、口をおさえることしかできない。新羅先輩、余計なことを言わないでください!セルティさんに変に思われてしまったら私は一体どうすれば!涙目で訴えようとしても、新羅先輩となかなか目が合わない。セルティさんは新羅先輩にだけPDAを見せた。

「うん、そんな感じ。」
「何がですか!?」
『内緒。浴衣、買ってきなよ。失礼なこと言ってごめんね。佳奈ちゃんの浴衣姿、私にも見せてよ!』
「は、はい…」

やっぱりセルティさんはわかってくれた!

「やったぁ!僕とセルティだけの秘密ができた!」
『やかましい。変なのを選ぶなよ。』
「うん、わかった。セルティの為にもちゃんと可愛いのを選ぶよ」
「私のことも少しは考えて下さいよ」

さすが新羅先輩。本当にセルティさんのこと以外なんにも考えてない。
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